進化史と表現型の起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 10:01 UTC 版)
「マカイロドゥス亜科」の記事における「進化史と表現型の起源」の解説
プロアイルルスとプセウダエルルス(英語版)および現生ネコ類の3群を外群としたマカイロドゥス亜科の系統発生を各属の簡単な説明と共に示す。以下、Maは百万年前を表す。 .mw-parser-output table.clade{border-spacing:0;margin:0;font-size:100%;line-height:100%;border-collapse:separate;width:auto}.mw-parser-output table.clade table.clade{width:100%}.mw-parser-output table.clade td.clade-label{width:0.7em;padding:0 0.15em;vertical-align:bottom;text-align:center;border-left:1px solid;border-bottom:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width{overflow:hidden;text-overflow:ellipsis}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.first{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel{padding:0 0.15em;vertical-align:top;text-align:center;border-left:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.last{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar{vertical-align:middle;text-align:left;padding:0 0.5em;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar.reverse{text-align:right;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf{border:0;padding:0;text-align:left}.mw-parser-output table.clade td.clade-leafR{border:0;padding:0;text-align:right}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf.reverse{text-align:right}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkA{background-color:yellow}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkB{background-color:green}ネコ科 プロアイルルス 25Ma:ヨーロッパ・アジア:1種:体重9 kg プセウダエルルス(英語版) 18Ma:ヨーロッパ・アジア・北米:12種:平均体重40 kg ネコ亜科 (現生ネコ類 10Ma- 現世:北米・南米・ヨーロッパ・アジア・アフリカ:44種) マカイロドゥス亜科 メタイルルス族 アデルファイルルス(英語版) 10-5Ma:北米:1種:体重50 kg ポントスミルス(英語版) 4種 ステナイルルス(英語版) 7Ma:ヨーロッパ メタイルルス 9Ma - 11,000年前:アフリカ・北米・ヨーロッパ・アジア:6種 ディノフェリス(英語版) (または Therailurus) 5-1Ma:ヨーロッパ・アジア・アフリカ・北米:8種:平均体重90 kg スミロドン族 パラマカイロドゥス(英語版)(またはパラメガンテレオン Paramegantereon、プロメガンテレオン Promegantereon)15-9Ma:ヨーロッパ・アジア:2種:平均体重55 kg メガンテレオン 6-2Ma:北米・アフリカ・アジア:12種:平均体重120 kg スミロドン 2.5Ma - 10,000年前:北米・南米:3種:平均体重400 kg ホモテリウム族 ロコトゥンジャイルルス(英語版) 10Ma:アフリカ ホモテリウム 5Ma- 10,000年前:北米・南米・ヨーロッパ・アジア・アフリカ:14種:平均体重190 kg ゼノスミルス(英語版) 1Ma:北米:1種:300 kg マカイロドゥス族 ミオマカイロドゥス(英語版) 12Ma:ヨーロッパ・アジア・アフリカ・北米:1種 マカイロドゥス(またはニムラヴィデス Nimravides、アンフィマカイロドゥス Amphimachairodus)11Ma- 126,000年前:ヨーロッパ・アジア・アフリカ・北米:20種:平均体重300 kg 分類 ネコ科 Felidaeマカイロドゥス亜科 Machairodontinaeホモテリウム族 Homotheriniアンフィマカイロドゥス(英語版)[要説明] ロコトゥンジャイルルス(英語版) ニムラヴィデス(英語版)[要説明] ホモテリウム メタイルルス族 Metailuriniアデルファイルルス(英語版) ディノフェリス(英語版) ポントスミルス(英語版) ステナイルルス(英語版) メタイルルス スミロドン族 Smilodontiniメガンテレオン パラマカイロドゥス(英語版) リゾスミロドン(英語版) スミロドン マカイロドゥス族 Machairodontiniヘミマカイロドゥス(英語版) ミオマカイロドゥス(英語版) マカイロドゥス Batallones-1 として知られる後期中新世の化石の宝庫の発見までは、スミロドン族とホモテリウム族の祖先の化石は数が少なく断片的な物しかなかった。そのため、剣状の犬歯の表現型の進化史、頭蓋下顎に影響を与える表現型、頚部・前肢の解剖学、などはほとんど知られていなかった。Batallones-1 の発掘以前は、高度に発達した剣状犬歯の表現型は多相遺伝的進化を経て急速に現れたという仮説が一般的だった。Batallones-1 からはスミロドン族の祖先である Promegantereon ogygia や、ホモテリウム族の祖先である Machairodus aphanistus の化石が出土し、彼らの進化史が解明された(ただし、スミロドン族の祖先は元々 Paramachairodus 属とされ、後に Promegantereon 属に再分類された)。ヒョウほどの大きさの P. ogygia (生息年代:9.0Ma)はスペインとおそらくその近辺に生存しており、その最もよく研究されている子孫でトラほどの大きさのスミロドン属は、1万年前の南北アメリカ大陸に生息していた。ライオンほどの大きさの M. aphanistus (生息年代:15.0Ma)はその最も研究されている子孫でライオンほどの大きさのホモテリウム属(生息年代:3.0-3.5Ma)と同じく、ユーラシアを闊歩していた。 剣状犬歯の表現型の進化についての現在の仮説は、Batallones-1 による知見を得て、この表現型はモザイク進化を経て徐々に現れてきた、という物になっている。正確な原因は不明なものの、近年の発見は獲物をすみやかに絶命させる必要性が進化の時を経てこの表現型を発達させるよう促す主要な進化圧だった、という仮説を支持している。破損した犬歯の発見例の高さが示すように、剣歯虎を取り巻く生物相環境は激烈な競争が際立つものだった。 破損した犬歯は、歯と骨との接触頻度が大きかったことを示している。歯・骨間接触の増加は、死体食の増加、迅速な獲物の摂食、過剰な攻撃性の増大、などの可能性が考えられ、これら3点全ては捕食者間の競争の激化により捕食機会が減少したことを指し示している。このような競争が激化した環境では捕食対象のより早い殺傷が求められる。なぜならば、もし獲物が(狩猟後の強奪などにより)摂食前に失われてしまえば、獲物を捕まえるために費やしたエネルギーコストは弁済されず、捕食者の一生の中でこのような事態がしばしば起こるようであれば、疲労・飢餓による死がもたらされるであろう。獲物をすみやかに殺傷できるよう改良された初期の適応は、P. ogygia と M. aphanistus の頭骨と下顎、P. ogygia の頸椎と前肢に見ることができる。彼らの化石により剣状犬歯の表現型進化における速度の重要性に対するさらなる形態学的証拠がもたらされている。
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