詳細:歴史・定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 09:21 UTC 版)
「プログレッシブ・ロック」の記事における「詳細:歴史・定義」の解説
現在「progressive rock」は英語でも普通に使われている言葉である。省略形は「prog」。 日本におけるこの音楽用語の初出に関する一つの説として、1970年に発売されたピンク・フロイドの『原子心母/Atom Heart Mother』の日本盤のタスキに、「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!」 (東芝EMIの石坂敬一が発案)というコピーが掲げられたのが初であるという説が有力とされる。 「プログレッシブ」とは、「進歩的」「先進的」「前衛的」というような意味だが、プログレッシブ・ロック・バンドという場合、そのアルバムや楽曲などには次のような特徴がある。 一部のバンドはアルバム全体を一つの作品とする概念(コンセプト・アルバム)も制作した 大作・長尺主義傾向にある長時間の曲 演奏技術重視で、インストゥルメンタルの楽曲も多い 技巧的で複雑に構成された楽曲(変拍子・転調などの多用) クラシック音楽やジャズ、あるいは現代音楽との融合を試みたものも多く、演奏技術を必要とする シンセサイザーやメロトロンなどといった、当時の最新テクノロジーを使用した楽器の積極的使用 イギリスのバンドの場合、中流階級出身者が多かった 上記の特徴は、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエス、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、ジェネシスなどのバンドに見られる。ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエスなどのプログレッシブ・ロック・バンドのメンバーは、イギリスの中流階級出身者が多かった。ピンク・フロイド以前の1967年ごろには、すでにムーディー・ブルース、プロコル・ハルム、ナイスらの一部の曲に、プログレッシブな曲調が見られた。フランク・ザッパらは、その音楽は十分に先進的、前衛的ながら、上記条件にあまり該当しないためにプログレッシブ・ロックにはカテゴライズされないこともあった。それらはアヴァンギャルド・ロックや実験音楽、アート・ロックなどの別のジャンルに含まれる。 上記のバンドのほかに、イギリスでは、ソフト・マシーンをはじめとするカンタベリー出身のジャズ・ロック・バンドが体系化したカンタベリー・ロックが登場した。さらに、1960年代から1970年代にかけてドイツで生まれた実験的な音楽を指すクラウトロックもプログレッシブ・ロックの一派とされる。一方、1970年代のアメリカでは、カンサスやボストン、ジャーニーなどが台頭し、アメリカン・プログレ・ハードというジャンルが登場し、ヒット曲を連発した。だが、このジャンルはコーポレート・ロック、産業ロックなどと英米、日本の音楽ジャーナリズム、ロック・ファンから批判された。1970年代後半、パンク、ニュー・ウェイヴの登場により、ハードロックやプログレなど既存の勢力はパンク勢から激しい攻撃を受けた。その結果、プログレは衰退していった。だが、のちにマリリオンらのネオ・プログレッシブ・ロックが現れ、再度注目されるようになっている。また、プログレッシブ・ロックの分野というよりもヘヴィメタルの分野に分類されるが、1990年代以降はドリーム・シアターなどによるプログレッシブ・メタルと呼ばれる音楽形態も生まれた。 プログレッシブという言葉を日本人が聞くとロックという言葉だけを連想するが、英語圏では「プログレッシブ・カントリー」や「プログレッシブ・ブルーグラス」など、気軽かつ頻繁に使用される。他にも、プログレッシブハウスやプログレッシブトランスというスタイルもクラブ・ミュージックのジャンルに存在する。
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