詳細:発音機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 18:11 UTC 版)
音源となるテープ(茶色の曲線)は鍵盤(1)と再生ヘッド(5)の間にセットされている。鍵盤にはテープを再生ヘッドに押し付けるプレッシャーパッド(3)と、モーターで駆動されたキャプスタン(6)に押し付けるピンチローラー(4)が取り付けられており、それぞれネジ(2)で高さを調整可能。鍵盤を押し込むと、テープはキャプスタンとピンチローラーに挟まれて前進しつつ再生ヘッドに押し付けられて発音して、ストレージ・ビン(7)に格納される。鍵盤を離すとテープはキャプスタンの回転から開放され、テープ・リターンローラー(8)の端に取り付けられたスプリング(9)によりおよそ0.5秒で巻き戻される。鍵盤を押さえることで抵抗が増えてもモーターの回転数を維持・安定化させるため、モーターコントロールカードという基盤がモーターには接続されている。こうした構造から、以下のような独特の挙動がある。 a)各音程のテープは、再生できる範囲が8秒分で、音色や音程によって収録時間は6~8秒程度となっている。このような有限の長さのテープを用いた面倒な機構を採用したのは、ピアノなどの減衰音の再生を可能とするためである。 b)調整次第だが、あまり速いパッセージを弾くと、テープの走行開始が間に合わずに音がきちんと発音されないことがある。 c)同音連打を行うと、テープが途中から再生されるため、アタックのつかない音になる。ピアノやヴィブラフォンの音色で顕著。 d)速く鍵盤を押し込むと、テープが再生ヘッドに叩き付けられて「プツッ」というノイズが出て、音の立ち上がりが強調される。 e)プレッシャーパッドのせり出し具合や鍵盤を押さえつける強さで音量が多少変わる。これを利用してスローアタック風に演奏することもできる。 f)モーターコントロールが不安定な機種(初期のM400など)では強く鍵盤を押さえつけると音程が下がり、回転数が回復して正しい音程にベンドアップする反応が起こることがある。この現象は4つ以上の鍵盤を同時に押すと起こりやすい。
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