被災者向け仮設住宅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 14:38 UTC 版)
「コンテナハウス」の記事における「被災者向け仮設住宅」の解説
日本国内では被災向け仮設住宅としての利用も行われている。構造が堅牢であることから長期間の使用に耐え、現場で組み立てる必要が無いため従来のプレハブ工法よりも労働者の人工を必要としないため設置コストが低く、工場で組み上げてから被災地まで運搬される。従来の工法では用地の確保や資材不足、職人不足などの問題も発生し、短期間で大量に建設することが難しく大きな課題となっているが、コンテナは工場から設置まで一週間と早く、設置は一日で完了するため入居も迅速となる。また、レンタルが可能であり、レンタル費は一戸辺り2年間で300万円と他の仮設住宅に比べ格安であった。不要になった場合の撤去もコンテナを移動させるだけあることから簡単である。撤去後は他の施設として再利用が可能であることから近年採用が進んでいる。国内では東日本大震災での被災地に対し宮城県牡鹿郡女川町で日本初となる3階建て構造としての設置が行われており、什器もユニット化されているため設置が容易であり、プレハブに比べ気密性や断熱性に優れており壁が肉厚であるため遮音性も高く、隣人の生活音が気にならないなどプライバシー面でも非常に好評であった。恒久使用を前提として設計されており、移設が行えるほか、退去後は合宿所や漁業で使用される番屋としての再利用が計画されている。平成30年7月豪雨では岡山県倉敷市で50戸が設置されており、従来のプレハブ工法よりもひと月早く入居が行われている。令和2年7月豪雨では熊本地域で住居としてだけでなく、臨時小学校としての採用も行われ、入居まで早く住環境が良かったことから同様に好評を博している。 従来の仮設住宅は性能が向上する一方、建設費が高騰しており、東日本大震災では5万3千戸の仮設住宅が建設されているが、造成費を含め一戸辺り約617万~730万円の費用が掛かっており、国の設置基準である9坪、253万円を大幅に上回ったうえ、プレハブにはリース物件と買取物件があるため、退去後に別途解体費用が必要となる事例も発生している。その後、設置基準が571万円にまで引き上げられているが、2018年の北海道胆振東部地震では仮設住宅を2重窓にするなど寒冷地仕様にしたため、1戸辺り1,200万円にまで費用が上がっている。しかし、同時期むかわ町に設置されたコンテナハウスの費用は約450万円に抑えられている。 高知県では震災時に一般の賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」として利用できる住宅が少ないため、一般社団法人、日本ムービングハウス協会とのコンテナ利用に関する協定を結んでいる。茨城県取手市でも台風による水害も踏まえた上で大規模災害時の利用に関し協定を結んでいる。なお、コンテナハウスの課題として現状供給能力が弱く、製造業者45社が加盟する協会で震災発生から1月以内で供給できる戸数が500戸と限られているため、平時から他の施設として利用する備蓄案を提案しており、全国6か所に備蓄施設の構築も行っている。同協会は平時には利益を生むホテルなどの施設として利用し、震災時に貸し出す仕組み作りを強化したいと語っている。 この他、令和元年東日本台風では、主要な被災地であった千葉県で被災者が飼っているペットが原因となり避難所での退避を断られるケースが発生しており、この問題に対応するため長野市がペット専用となる空調付きコンテナの提供を行っている。神奈川県川崎市ではコロナ禍で災害が発生した場合の避難所実証実験を行い、この結果から避難所の密集度が問題として浮彫になっており、この対策としてコンテナハウスの採用を検討している。
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