英語での翻訳:restoration と revolution
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 15:04 UTC 版)
「明治維新」の記事における「英語での翻訳:restoration と revolution」の解説
英語表記は Meiji restoration が多く、「明治の(王政)復古」の意味になる。他に Meiji Ishin、Meiji restoration and revolution、Meiji Revolution(明治革命)、Meiji Renovationなどが見られる。 維新は英語で王政復古を意味する Restoration と表記されることが多いが、これは慶應3年12月9日(1868年1月3日)に岩倉具視らが上程した大令(いわゆる王政復古の大号令)の中の王政復古の英語訳であるとされる。 先帝(孝明天皇)頻年被惱宸襟(しんきん)候御次第、衆庶之知る所に候。依之叡慮を決せられ、王政復古、国威挽回ノ御基(もとい)立てさせられ候間、自今、摂関幕府等廢絕し… — 大令(王政復古の大号令)、慶應3年12月9日(1868年1月3日) 英国外交官フランシス・O・アダムスの『日本史』(1874-75)ではこの大令を「a basis should be formed for a return to the ancient form of government by the Sovereign,and for the restoration of the national dignity」と説明された。この場合、restoration は「王政復古」ではなく、「国威挽回」の訳語として用いられたが、日本政治思想史研究者の苅部直は、日本の開国後出版された西欧人による初めての日本紹介であるアダムスの『日本史』から、慶応三年の改革を restoration と呼ぶ用法が定着していったのだろうと指摘する。 他方、ウィリアム・グリフィスの The Mikado's Empire (『ミカドの帝国』、1876年)では、将軍政権の崩壊とミカド(天皇)の最高権力への復帰(restoration)が目撃されたとし、最近の日本では、対外政策の転換、社会改革、西洋文明の受容の三重の政治革命 (a three-fold political revolution) が進行していたと認識していた。苅部によれば、幕末から明治にかけての体制転換は、徳川公方から京都の天皇への単なる政権交代というだけでなく、公儀または幕府が大名と朝廷を統制するそれまでの国家全体の体制を改めることであり、様々な制度改革を通じて、身分に基づく支配などが廃止され、西洋文明への受容へと大きく舵が切られたような、社会の急激な変化であり、また、当時の日本国内ではこのような世の中を根本から立て直そうとする動きは「御一新」として歓迎されたことなどからも、このような体制転換にふさわしい英語は revolution であり、これは同時代の日本人が抱いた実感でもあったという。また、明治政府が「維新」でなく「革命」と表現していたら、「明治革命」と言った名称も定着していた可能性もあったという。 なお、徳富蘇峰や竹越與三郎や、北一輝らは、「維新革命」という呼称を用いた。 中村政則は、明治維新は復古(Restoration)、改革(Reform)、革命の三つの側面を持ち、どの側面を強調するかで評価が異なってくると1986年に指摘した。 21世紀に入ると「明治革命」を使用する研究者が多くなり、日本政治史研究の坂野潤治や日本近代史研究の三谷博、日本政治思想史研究の渡辺浩、歴史学者マリウス・バーサス・ジャンセンやアンドルー・ゴードンらは「明治革命・Meiji Revolution」という呼称を用いる。 なお、三谷博は、Restorationを訳語に使うと、天皇の国家の頂点への復帰だけに注意を集め、維新が世襲身分制のほとんどを廃棄した大規模な革命であった事実をおおいかくしてしまうので、Revolutionでは誤解もあるのなら、regeneration(再生、改革、刷新などの意味)という訳語を提案した。
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