自我の固着(性格)の解放のための実践
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 07:56 UTC 版)
「エニアグラム」の記事における「自我の固着(性格)の解放のための実践」の解説
第一段階としてエニアグラムを活用した自己理解があり、次に自我をあるべき姿に戻すためのアプローチが続く。ただし、大衆文化におけるエニアグラムでは、実践的アプローチはほとんど知られておらず、行われていない。エニアグラムのワークショップを開催する橋村令助は、タイプが明確につかめるようになると、「タイプが分かったとしても、だからどうなの?」という疑問がわき、同様の質問も受けるが、これは切実な問いかけだと述べている。 大衆的なエニアグラムの指導者では、実践的アプローチを経ずに、理論だけを学んだと思われる。実践的アプローチは、指導者のもとで徹底的に指導を受ける必要があるという。 理辺良保行によると、第二段階は「囚われ」との戦いになり、第三段階は瞑想に入る。囚われは、自分の自我の固着の有様を自覚し(第一段階)、その固着のタイプが必要とする美徳を身につけることで克服できる可能性があると考えられているため、真理の聖なるイデアを瞑想することで、美徳が育つことを助け、精神を静めることを目指す。 イチャソに学んだジョン・C・リリーによると、アリカ学院でおこなれていた身体的エクササイズは、ハタ・ヨーガと合気道をベースに、ハタ・ヨーガやその他のヨーガ、空軍で行われるいくつかの体操などの既存の動きやポーズを組み合わせた、約3ダースの一連の身体的エクササイズである。「身体の全ての筋肉と関節を使い、内臓をマッサージし、内耳の入り口の機関を調整し、身体‐脳の機序全体を立て直すもの」であるという。また、「パンパス」と呼ばれる荒野での過酷なエクササイズも実践されており、呼吸・血液循環・新陳代謝を含む全体的な機能単位としての身体を育むために考案された。それぞれのエクササイズは、身体の動きと協調するマントラや祈りがあったという。リリーは、精神的エクササイズとして、イチャソの教えから導かれる心的偏向・自我偏向の考え方、ジュニューナ・ヨーガ(英語版)(知のヨーガ)、グルジエフや弟子のウスペンスキー、A・R・オレージ(英語版)の著作で提供されたもの、「キリストの祈り」の名で呼ばれるものを上げている。これらの実践により、身心に固着した否定的状態の突破が目指される。 理辺良は、一般にひろまっているエニアグラムでは、アメリカでも日本でも第二段階以降のアプローチがないと指摘している。そのため、第一段階で自己への気づきがあっても、その後どうすればいいかわからず生かすことができないという問題点を指摘している。理辺良は、実践のワークショップでは、自己の歪み等と向き合うことになるため、成熟した指導者と、生徒と指導者の信頼関係、自己成長のためにつらい経験をすることになっても耐える生徒の覚悟が必要になると述べている。そのため、ビジネスの場や商業目的で使われる場合などと異なり、自己成長のためのエニアグラムは大勢での実施には向いていないという。
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