考古学的アプローチ
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日本では、紀元前1000年前後の縄文式竪穴から、中国では酒造りに用いられていた酒坑(しゅこう)が発見されている。そこには、発酵したものに集まるショウジョウバエの仲間のサナギとともに、エゾニワトコ、サルナシ、クワ、キイチゴなどの果実の断片が発見されている。 米から造られた酒ではなさそうなので、日本酒の直接の祖先と言ってよいかは議論を待つところだが、日本における醸造の原初的な段階を物語るものとしてこれらの史跡も貴重である。酵母は生き物であり、アルコールも蒸発してしまうものであるから、従来の考古学的手法ではあまり日本酒の起源に関する研究は進んでいない。 古墳時代中期以降(5世紀-)の遺跡からは、楽器として使われたとも酒などの液体を入れたともいわれる、須恵器の「はそう(はさふ、はぞう)」が出土している。 平城京跡地から出土した木簡には、様々な種類の酒の記述がある。
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考古学的アプローチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/18 02:51 UTC 版)
フン族と東・中央アジアの物質文化を結びつけるような考古学的知見は少数しか見つかっていない。両者の関連を示す最も重要な証拠となり得るのが、フン族と匈奴がそれぞれ使っていた青銅の大釜である。それぞれの大釜は似通っているだけでなく、匈奴の大釜からフン族の大釜へ大きな進化が見いだせるのだという。キム・ヒョンジンは、これをもって匈奴文化がフン族に受け継がれていたことが証明できると主張している。林俊雄は、こうした大釜の出土品を辿ることでフン族/匈奴の西遷を追うことができると主張した。しかしUrsula Brossederによれば、匈奴の大釜とフン族の大釜の中間に相当するような品は見つかっていない。また彼女は、この出土品ひとつをとって匈奴がフン族になったと立証することは出来ないと主張している。さらにBrossederは、匈奴の大釜はたいてい墓地に埋まっているのに対し、フン族の大釜は水辺で単独で出土しているという相違点も指摘している。 ヘザーは、フン族と匈奴が似たような武器を用いたと主張した。エッシェーとレベディンスキーは、フン文化にみられる三枚の矢羽をもつ巨大な鉄鏃は、明らかにアジアに由来するものだとしつつ、これらは匈奴のみが用いたものではないと述べている。メンヒェン=ヘルフェンによれば、様々な「フン」にまとめられている集団が使っていた鏃はそれぞれ大きく異なっている。 1945年、メンヒェン=ヘルフェンは、ヨーロッパのフン族が行っていたとされる頭蓋変形の慣習について、匈奴で行われていた証拠が無いと指摘した。ただしキムによればエフタルに頭蓋変形を行っていた証拠がみられる。より最近の考古学研究から、1世紀のシルダリヤ川周辺にいたケンコル・グループと呼ばれる集団が頭蓋変形を行っていたことが分かっており、この集団が匈奴と関係している可能性がある。頭蓋変形の慣習は、1世紀中央ユーラシアでは極めて広範囲で行われていたようである。 またメンヒェン=ヘルフェンは、フン族の遺物に特徴的にみられる金葉と鱗文様が、匈奴の物品には見られないという点も指摘している。彼は、匈奴とオルドス青銅器文化により強い関連があるとしたうえで、オルドス文化にみられる動物のモチーフはフン族には見られないと論じている。2018年、Ursula Brossederは次のように述べている。 ここ数十年でモンゴル、アルタイ、トゥバ、南シベリアの考古学は大きく進歩したが、基本的な事実認識は変わっていない、すなわちこれら内陸アジア地域の諸集団の物質文化は、ヨーロッパのフン族のそれとは隔たりがあるということである。 Brossederは、4、5世紀の内陸アジアにおけるフン族や、1、2世紀のウクライナ・ステップにみられる個々の匈奴に似た物的痕跡が示すのは、民族移動の証拠というより、単に地域間で交流があったことの証という程度であるとしている。ただし彼女は、考古学では民族移動があったことを立証も反証もできないと述べている。一切の考古学的証拠を残さず集団が大移動を起こすことも少なくないからである。 エッシェーとレベディンスキー(2007年)によれば、ヨーロッパのフン族の遺跡から発掘された人骨はヨーロッパ系のものが多数派で、他にモンゴロイド、混血がみられる。I・ボナは、モンゴロイドの割合を20-25パーセントと推定している。
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