絹本著色春日補陀落山曼荼羅図とは? わかりやすく解説

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絹本著色春日補陀落山曼荼羅図

主名称: 絹本著色春日補陀落山曼荼羅図
指定番号 2022
枝番 00
指定年月日
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 1幅
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  本図春日宮曼荼羅図の上方に補陀落山を表すという特異な図様をもつ。春日宮曼荼羅図は、一二世紀末記録にすでに散見する鎌倉時代入り春日信仰深化仏教側から春日浄土観が鼓吹され、その詳細な社頭景物仏教的な意味が付与された。これを受けて春日社の広い景観詳細に描く作例あらわれ正安二年(一三〇〇)の湯木美術館本(昭和十五五月三日指定重文)により、一三世紀後半にはその後継承される定型的な図様成立していたことが推測される本図春日社頭の光景は、定型的な図様描かれるが、微妙な起伏をもって表され春日山は、文永十年一二七三)の大東急記念文庫金剛般若経」(昭和十六七月三日指定重文見返絵のそれに近い。また、神域多く銀泥による覆い縹渺ひょうびょう】たる雰囲気描出していることは特筆されよう。
 補陀落山図様は『不空羂索神変真言経けんさくしんべんしんごんきょう】』や『大唐西域だいとうさいいき】記』の所説に基づき、窟中の僧侶天秤棒を持つ人物など法華経絵【ほけきょうえ】由来とみられる図様もあり、老翁一群楼閣の様は、京都醍醐寺絹本著色山水屏風」(平成元年六月十二日指重文)等を思わせるこのような図様は、法隆寺黒漆六角厨子」(昭和四年四月六日指定重文)等、鎌倉時代以降南都における作例多く認められ、共通の信仰基盤のもとに成立したことをうかがわせる
 本図春日社頭を浄土擬する春日浄土観と十一面観音信仰融合所産とみられるが、春日浄土思想興福寺の僧貞慶じょうけい】(一一五五~一二一三)を淵源とし、その法脈沿って形成されとみられるまた、貞慶晩年観音信仰による補陀落往生希求したことが、彼の草した観音講式【こうしき】等によって知られる同じく貞慶草したとされる春日大明神発願文だいみょうじんほつがんもん】」では、観音春日明神が一体のものと認識されており、彼の観音信仰春日四宮本地仏である十一面観音を介してのものであったことが推測されるあわせて本図十一面観音の手勢、持物等は、正和元年一三一二)の「絹本著色春日明神影向図」(昭和六十三年六月六日指定重文藤田美術館)の十一面観音一致し春日四宮本地仏表していることは明らかである。以上から本図成立には貞慶思想深く関わるものとみられるが、本図制作は、一三世紀末から一四世紀初頭ころとみられ、貞慶思想受け継いだ人びとによってなされたものと考えられる本図類例稀な春日補陀落山曼荼羅図遺例であるとともに、その山水人物表現に高い画技を示す優品である。



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