組み立てと解体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 15:30 UTC 版)
細胞分裂のプロセス、またはアポトーシスの結果 (プログラム細胞死のプロセス) として、核は分解されたり破壊されたりする。これらのイベント中に、核の構造的要素 (核膜や核ラミナ) は分解される。ほとんどの細胞で、核膜の解体は細胞分裂の前期の終わりに起こる。しかし、核の解体は細胞分裂の普遍的な特徴ではなく、すべての細胞で起こるのではない。いくつかの単細胞の真核生物 (酵母など) ではいわゆる "closed mitosis" が起こり、核膜は保持されたままである。closed mitosis では、娘染色体は核の両極に移動し、その後2つに分割される。一方、高等真核生物の細胞では、通常 "open mitosis" が起こり、核膜の崩壊で特徴づけられる。娘染色体は紡錘体の両極に移動し、新たな核がその周辺で再集合する。 細胞周期の特定の時点で、細胞は2つへ分裂する。このプロセスが可能となるためには、新しい娘細胞のそれぞれが遺伝子の完全なセットを持っていなければならず、染色体を複製するだけでなく、それぞれを別々のセットへと分離することが必要とされる。これは、複製された染色体 (姉妹染色分体) が、微小管を介して異なる中心体と結合されているようにすることで行われる。その後、姉妹染色分体は細胞の別々の位置へと引き離される。多くの細胞では、中心体は核の外部、細胞質に位置しており、核膜が存在していると微小管が染色分体へ結合することができない。そのため、細胞周期の初期の段階、前期に始まり前中期の頃までに、核膜は分解される。同様に、CDC2のようなプロテインキナーゼによるラミンのリン酸化で調節されるプロセスで、同じ時期に核ラミナも分解される。細胞周期の終了へ向けて、核膜は再形成され、ほぼ同じ時期に核ラミナもラミンの脱リン酸化によって再集合する。 一方、渦鞭毛藻では、核膜は保持されたままであり、中心体は細胞質に位置している。微小管の centromeric region は核膜に取り込まれ、染色体と接触する (closed mitosis with extranuclear spindle)。他の多くの原生生物 (繊毛虫や胞子虫など) や菌類は、中心体が核内にあるため、細胞分裂中も核膜は解体されない。 アポトーシスは、細胞の構造要素が破壊される制御されたプロセスであり、細胞死が誘導される。アポトーシスに関連した変化は、直接的に核やその内容物に影響を与え、クロマチンは濃縮され、核膜や核ラミナは解体される。ラミンのネットワークの破壊は、カスパーゼと呼ばれるアポトーシスを進行させる特別なプロテアーゼによって制御され、ラミンが切断されることで核の構造的完全性が破壊される。アポトーシスの初期活性のアッセイにおいて、ラミンの切断はカスパーゼ活性の実験的指標として用いられることもある。カスパーゼによって切断されない変異型ラミンを発現する細胞は、アポトーシスに関連した核の変化が見られず、ラミンがアポトーシスによる核の分解を開始する役割を担っていることが示唆される。ラミンの重合の阻害は、アポトーシスの誘導因子となる。 核膜は、DNAウイルスやRNAウイルスが核へ進入するのを防ぐ障壁として機能している。いくつかのウイルスは、自身の複製と組み立てのために核内のタンパク質にアクセスする必要がある。ヘルペスウイルスのようなDNAウイルスは、核内で複製と組み立てを行い、核の内膜からの出芽によって外部へ出る。このプロセスは、内膜の核側のラミナの分解を伴っている。
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