組み立ての理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 03:51 UTC 版)
核膜孔複合体がどのように組み立てられるかについては、いくつかの仮説が存在する。Nup107-160複合体のような特定のタンパク質複合体の免疫除去を行うと孔のない核が形成されるため、Nup複合体は核膜の外膜と内膜の融合に関与しており、膜の融合が孔の形成の開始段階ではないと考えられる。主要なモデルは次のようなものである。 1つの可能性は、1つのタンパク質複合体がクロマチンに結合するものである。その後、複合体はクロマチンに近接した二重膜に挿入され、膜の融合が引き起こされる。このタンパク質複合体の周辺に他の因子が次第に結合し、核膜孔複合体が形成される。有糸分裂後の細胞では膜が最初に形成され、その後に孔が挿入される。 別のモデルでは、単一のタンパク質複合体ではなくpreporeが最初に形成されるとされる。このpreporeはいくつかのNup複合体が集まってクロマチンに結合することで形成される。有糸分裂後の膜の再形成の際、このpreporeの周囲に二重膜が形成される。電子顕微鏡によって、preporeと思われる構造体が核膜が形成される前のクロマチン上に観察されている。細胞周期の間期には、preporeの形成は核の内部で起こる。各構成要素は既に存在する核膜孔複合体を通って輸送される。これらのNupは細胞質で合成されるとインポーチンに結合し、細胞質でのpreporeの形成が防がれでいる。核内へ輸送されると、Ran-GTPがインポーチンに結合してNupが放出され、preporeを形成できるようになる。少なくともNup107とNup153はインポーチンに結合して核内へ移行することが示されている。核膜孔複合体の組み立ては未解明の中間状態がある非常に速い過程で、段階的に進行することが示唆されている。
※この「組み立ての理論」の解説は、「核膜孔」の解説の一部です。
「組み立ての理論」を含む「核膜孔」の記事については、「核膜孔」の概要を参照ください。
- 組み立ての理論のページへのリンク