組み立て場所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 16:18 UTC 版)
船を組み立てる場所は、以下のようにいくつか種類がある。いずれの場所も、大きな鋼製のブロックやエンジン等を吊り上げて設置するための大きなクレーンが備えられている。 船台 造船時の「船台」は、水面に対して2-3度程度ゆるく傾斜した陸上の広い斜面に組み上げられた船の台座のことである。船は通常、水面に対して後ろ向きに組み立てられ、船体の完成後はあらかじめ滑るように作られた台座の上を滑走して斜面に続く水面に勢い良く進水する。後ろ向きに組み立てるのは、舵やスクリュープロペラといった弱い突出部を、船体が浮かびかけた不安定な時に斜面や台座に当てないためである。また、水面が狭い造船所では船が横向きに組まれて、横滑りされる船台もある。進水式で船が水面に滑り込む派手な光景が人々に喜びを与えるが、大型船はドックで建造されることが多くなり、船台を使った進水式は減りつつある。 ドック 岸壁の一部を船が収容できるほど大きく掘り下げ、水域との境に巨大な障壁を設けることで水を排出して乾いた作業空間を作り出す。この水面より低く陸より掘り下げられた場所が「ドック」、又は「乾ドック」である。ドックは床面が水平なため、傾いた船台より組立作業に都合がいい。ドック内で船が組み立てられ、船体が完成すると水が導入されて水面に浮かべられ、障壁が除かれるとドックから外水面へと引き出される。 浮きドック 比較的小型の船は、浮きドック方式によって作られることがある。これは、浮きドック内で建造した船の建造後にこの浮きドックのタンクに注水して沈め、船を進水させるものである。 陸上建造 大型船でも水面より高い陸上で建造した後で、レールや台車によって岸壁まで水平に移動させ、岸に浮かべたバージに載せ替えてからこのバージを海に沈めて進水させる陸上建造工法がある。韓国では2006年に現代重工業が世界で初めてドック(船渠)を使用せず陸上で建造する「陸上建造方式」に成功して以来、この方式での造船が行なわれている。陸上建造方式はドックの整備に必要な巨額の設備投資を抑え、激しい需要変動の差に対応することが可能である。
※この「組み立て場所」の解説は、「造船」の解説の一部です。
「組み立て場所」を含む「造船」の記事については、「造船」の概要を参照ください。
- 組み立て場所のページへのリンク