米議会で問題化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 08:47 UTC 版)
「トラ・トラ・トラ!」の記事における「米議会で問題化」の解説
1969年5月、米議会でニューヨーク州選出のジョン・マーフィ民主党下院議員が「卑怯な真珠湾攻撃を認めるような映画に米国民の税金でまかなわれている軍隊や空母を提供するのはけしからん。しかもベトナム戦争で死闘が続いている時に」などと問題視し、この発言が『ニューヨーク・ポスト』や『デイリーニューズ』『ワシントン・スター』など各紙に報道され、1969年6月14日、マーフィ議員らが国防総省が商業映画に協力する際の基準を設ける法案を提出した。『トラ・トラ・トラ!』の撮影に使われたアメリカの艦船、航空機は大半が無料供与だった。議会の軍隊ロビーといわれる下院軍事委員会委員長がこれに賛同し、公聴会が開かれることになった。「政府所有の財産や軍人を一企業の利益に供するのは許されるべきでない」というのが言い分だが、背景にあるのは「卑怯な真珠湾攻撃をアメリカが国家財産まで使って賛美するのはけしからぬ」という国民感情。この年春に源田實参院議員が訪米した際、「真珠湾攻撃のあと引き続きハワイに空爆を加えて占領し、ここを米西海岸攻撃の基地にすべきだった」「日本がもし核爆弾を持っていたらアメリカに対し使用していただろう」などと源田が発言し、この発言は『ニューヨーク・タイムズ』その他に大きく伝えられ、「リメンバー・パールハーバー」の声が米国内に上がったばかりだった。非難の矢面に立たされた20世紀フォックスは対抗措置として、1969年6月16日『ニューヨーク・タイムズ』『ワシントン・ポスト』の両紙に20世紀フォックスのザナック社長名で、映画を擁護する異例の全ページ広告を載せ「『トラ・トラ・トラ!』は国防総省、日本防衛庁によって公式に認められた史実に基づく歴史映画である。映画の目的はこのミサイル時代にあっても、いつでも卑怯な真珠湾攻撃があり得ることを国民に訴えることにある。米国がいつでも勝つような映画では国民の関心を呼ばない。真珠湾攻撃の当時、アメリカは孤立主義のムードがいっぱいで平和デモも盛んだった。それが奇襲のあとは一夜にして報復を叫ぶようになった」などと反論した。これに対してレアード国防長官は「ロケは昨年12月のジョンソン政権当時に承認されたもので、私はいっさい関知しない」と述べた。その後、20世紀フォックスは軍に$1,900,000(6億8400万円)に支払い妥協し、紛争が解決したのは1969年12月10日のことで、米下院軍事活動小委員会が「軍の民間映画への支援は妥当である」と断を下した。
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