算道の内容とは? わかりやすく解説

算道の内容

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 04:45 UTC 版)

算道」の記事における「算道の内容」の解説

算道教科書として律令法などで定められていたのは以下の9種である。 孫子算経三国・両晋期に孫子著者として仮託して書かれ古典的な数学書。唐の淳風注釈で有名。 五曹算経北周の甄の著。行政官に必要とされた基礎的な数学知識を「田・兵・集・倉・金」の5つ章立て解説した書。 九章算術現存する中国最古数学書九章から構成され体系的な書。魏の劉徽注釈著名海島算経劉徽著した測量計算に関する書。 六章…詳細不明であるが、『九章算術』を応用発展させたと言われている。 綴術…祖沖之著した高等数学の書で、円周率球体積の計算方法書かれていたとされているが、現存しない。 三開重差…級数展開などの高等数学に関する書。 周髀算経天体暦に関する書。紀元前2世紀成立して暦学基本書とされた。 九司…詳細不明であるが、『五曹算経』と同様の行政官向けの数学書であったと言われている。 なお、当時の唐で採用されていた算経十書と呼ばれる教科書のうち、『張邱建算経』・『夏侯陽算経』・『五経算術』・『緝古算経』の4種除かれ代わりに『六章』・『三開重差』・『九司』が採用されている。これは、内容重複日本への伝来事情などとの関係があると考えられているが、詳細な理由不明である。 算生の官人登用試験である奉試については、学令定められていたが、大宝律令養老律令では微妙に規則違っていた。大宝律令では『九章算術』・『六章』・『綴術』の基本の3書のうち1つから3問、それ以外の6書から各1問ずつの計9問を出題し6つ正解すれば及第としたが、3問出題される基本書からの出題間違えた場合には他の8問が正解でも不合格とされた。養老律令では方法が2通りあり、前者は『九章算術』3問と『六章』・『綴術』以外の残り6書から各1問の計9問から出題されるもの、後者は『六章』3問と『綴術』6問の計9問から出題されるもので、前者基礎算術後者高等数学知識試した。全問正解であれば甲第とされて大初位上自動的に叙任され、『九章算術』あるいは『六章』の全問を含めた6-8正解者は乙第とされて大初位下叙任された。なお、天平3年731年以後基本書(『九章算術』・『六章』・『綴術』)3問に加えて、『周髀算経』1問の計4問のうちから不正解を出すと及第認められないこととなった。 算得業生成立後は、7年学習して奉試に及第する合格者算博士主計寮主税寮大宰府造宮省(後には修理職木工寮)に設置されていた算師任じられる他、地方下級国司となって租税会計事務などを扱ったまた、それ以外にも造寺司など一般官司にて下級官人務めながら、校班田荘園図の作成などの際に臨時で「算師」として派遣された者の存在確認できる当時算術普及せずにその知識有する者が少なかったために官位こそは低いものの、及第して官人となった算生の持つ数的処理能力諸官司から期待されるところは大きかった。ただし、それは技能としての算術数学であって数学的思考教養感性求められたものではなくましてや中国見られたような高等数学当時日本社会で必要とされる場面存在しなかったと考えられ日本数学史が独自の進歩見せきっかけにはなりえなかったのである

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