算術級数の素数定理の拡張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 22:49 UTC 版)
「算術級数の素数定理」の記事における「算術級数の素数定理の拡張」の解説
算術級数の素数定理が証明された後、 の誤差項の改善が大きな課題となった。 イヴァン・ヴィノグラードフ(英語版)(1958年)は指数和の評価を用いて誤差項を に改善した。これが現在知られている最良の誤差項である。 一方、ゴールドバッハ予想などの数論上の問題の研究の過程で、dに対する依存の評価がより重要であると考えられるようになった。このときに問題となるのはは χ が実指標のとき、 を満たす零点を持つ可能性を除外できないことである。ただし、正の実数 s に対して となる事例はあるとしても1個しか存在しない。 ディリクレの類数公式から、任意の正の ε に対して であることがわかり、これから の実の零点 s は を満たすことが従う。ここで c は計算可能な正の定数である。 カール・ジーゲルは二次体の類数についての研究結果から任意の正の ε に対して を示し、これから を 示した。ただしこのときは c は計算可能ではない。これは後にセオドア・エスターマン(英語版)によって複素函数論の基礎的な定理のみを用いて証明された。この結果から、任意の正の ε に対して、 ならば (ここで c1 は ε にのみ依存する正の定数) が成り立つ事が示される。
※この「算術級数の素数定理の拡張」の解説は、「算術級数の素数定理」の解説の一部です。
「算術級数の素数定理の拡張」を含む「算術級数の素数定理」の記事については、「算術級数の素数定理」の概要を参照ください。
- 算術級数の素数定理の拡張のページへのリンク