筆墨紙硯とは? わかりやすく解説

文房四宝

(筆墨紙硯 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/18 09:23 UTC 版)

文房四宝

文房四宝(ぶんぼうしほう)は、中国文人文房趣味のひとつで(ふで)・(すみ)・(すずり)・(かみ)の四つをさす。別に文房四友(ぶんぼうしゆう)という言い方もある。これらは文房具の中心であり、特に賞玩の対象となった。

概説

この四つの文房具の中でも特に(すずり)が重んじられ、多くの文人に愛でられる対象となった。使用しても消耗することが少なく、骨董価値が高かったためである。次に(すみ)・(かみ)という順で、(ふで)は新しくないと実用的でないので骨董的な価値に乏しく、愛玩の対象とはあまりならなかった。

代においても硯や墨の優り劣りについて論じたという記録があるが、南唐文化の影響を色濃く受けた代以降に文房四宝が語られることが多くなった。硯は端渓硯がもっとも有名であるが、歙州硯も同じくらい賞玩され、墨も歙州に名工と評される李超・李廷珪父子が名を馳せ、張谷もこの地に移ってきた。紙についても、歙州にて澄心堂紙という極めて良質の紙が産出された。宋初には硯・墨・紙について、歙州は代表的な生産地となっていた。これは南唐の国王である李中主後主の親子2代にわたる工芸優遇政策によるところが大きい。工人に官位を与え俸禄を優遇したため、すぐれた人材が集まり、技術が高度化して、良い製品を継続的に生産できるようになったのである。

南唐期の文房四宝は歴代皇帝に珍重され、復元が試みられた。また、葉夢得・唐詢・欧陽脩蘇軾米芾蔡襄など名高い文人書家も重用した。

関連文献

  • 蘇易簡『文房四譜』

  • 唐詢『硯録』
  • 唐積『歙州硯譜』
  • 米芾『硯史歙』
  • 李之彦『硯譜』
  • 高似孫『硯箋』
  • 『歙硯浙』
  • 『弁歙石説』
  • 『端渓硯譜』

出典

外部リンク

いずれも故宮博物院所蔵のもの。


筆墨紙硯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/06 07:42 UTC 版)

文人」の記事における「筆墨紙硯」の解説

詳細は「文房四宝」を参照 文房趣味とは、文房書斎)を中心に発展した中国文人趣味である。文房清供あるいは文房清玩という場合もほぼ同義である。 本来的に読書人である文人文房において起居し、同時に趣味生活実現する拠点とした。「明窓浄几」と表現されるように明るく清浄な書斎環境理想とされ、この限られた空間はひとつの小宇宙見做され、そこに関わる文物のほとんどが趣味嗜好対象となった。この萌芽漢代にまで遡れるが、六朝から唐にかけて発展し宋代骨格築かれ元代では一旦衰退するが、明代において隆盛となり、清代までその余波続いた六朝および唐においては華麗にして典雅な貴族趣味好まれたが、宋代になると庶民的な質素さを基調とする趣致好まれるうになる。この質朴とも言える趣致道教清浄概念由来し貴族的な雅趣庶民的な野趣併せ持つ「清」という価値表現される。この宋代生まれた清(清逸清楚)なる趣致後代まで受け継がれ発展していき、単なる遊戯であるはずの趣味芸術の域にまで引き上げた文房趣味代表格として筆・墨・硯・紙が挙げられる。これらは文房具中心であるので文房四宝文房四友とも称される単なる文房具であるはずが、特に宋代以降になると鑑賞蒐集愛玩収蔵対象物となり、生産地工人ブランド化されその優劣盛んに論じられるうになる。 しかし、文房趣味精髄をと問われれば、文物鑑賞終始する好事家であるばかりでなく、文房生活の享楽追究であるといわなければならない文房では欠かせない喫茶や香の習慣味覚嗅覚までに雅俗認識及んでいるが、一方で生活の質を向上させ、修養にも通じているといえる明末の文震享の『長物志』(訳注は、平凡社東洋文庫3巻)は、この趣味をもっともよく体系化しており、室盧・花木水石・禽書画・几器具・衣飾・舟車位置・蔬果・香12門に分類している。文房趣味ファッション(=衣飾)やインテリア(=位置)まで及んでいたことが注目される。このほかに明初の曹昭の『新増格古要論』・明末の張応文の『清秘蔵』・万暦年間の高濂の『遵生八戔』・屠隆の『考槃余事』などに文房趣味論じられている。専門書多く挿花盆栽などの園芸についてや金魚の飼育について述べられたものがある。変ったところでは、怪石蒐集飼育など挙げられる文房古書画の鑑賞浸り、墨を擦り、詩を詠じ、友と酒を酌み交わし清談耽ることが文人理想的な文房生活といえる

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