第2期電王戦
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2017年に開催。第4回将棋電王トーナメント優勝ソフト・ponanzaと、第2期叡王戦に優勝した佐藤天彦叡王(名人)の対局である。電王戦では初となるタイトルホルダーの出場であり、公開の場で行われるタイトルホルダー対コンピュータ将棋の対局としては、2007年3月の渡辺明竜王対Bonanza以来10年ぶりである。佐藤は「これまでの電王戦を見てもソフトが非常に強いので大変な戦いになる。しっかり頑張りたい」と述べた。持ち時間は2日制8時間から1日制5時間に変更、その他のルールは第1期と同様。 ponanza作者の山本一成は前回の第1期電王戦に出場したバージョンに対し、今回のバージョンは約9割勝てるまで強くなったとしている。出場棋士は、本番と同じソフトおよびハード(Intel Core i7 6700 3.4GHz 4コア)で練習対局が行なえる。 第2期叡王戦に人間側の絶対王者として見られることが多い羽生善治が参戦したことが話題になった。しかし昨今のコンピュータの進歩の速さを見た識者の中で、観戦記者の大川慎太郎は「羽生三冠が叡王戦を勝ち抜き、来春、将棋ソフトと二番勝負を戦ったとして、1勝できれば御の字という向きもある」と述べている。羽生は準決勝で優勝した佐藤に敗れたため電王戦出場はならなかった。 古作登は「ponanzaは過去の戦いでもプロ棋士に負けておらず、トップアマに100連勝以上する力を示しており、これは名人といえども簡単にできるものではない」と述べる一方で、「ponanzaもソフト代表決定戦では一敗しており、神ではない。佐藤名人は気持ちのブレが少なく、電王戦に対するコメントも落ち着いている。コンディションが整っていれば最高の棋譜が期待できるのでは」とも述べている。 主催するドワンゴと将棋連盟は2月22日、記者会見で今の形式の電王戦は今回で最後になると発表した。ドワンゴ会長の川上量生は「将棋の世界において単純に将棋プログラムと人間の優劣を競うというそういう電王戦は佐藤名人対ponanzaの対局を以て終了したいと思う」とコメントした。ただし、叡王戦は継続して開催するとした。電王トーナメントについては、名称を変えて続けたいとした。 振り駒は2016年にGoogleのアルファ碁と対戦したことで知られる韓国の囲碁棋士、李世乭が行った。李は「素晴らしい企画に参加できて光栄に思います。人工知能と将棋では、ちょっと差ができていると思いますが、今回は佐藤叡王が頑張ってくれるのではないかと思います」とコメントした。また、アルファ碁との対戦について「その当時あまりコンピューター囲碁の棋力をあまり分かっておらず、簡単に受け入れましたが、自分としてはとても恥ずかしい戦いでした」と述べた。 コンピューター側の指し手は「電王手一二(でんおうていちに)さん」が利用された。2本のアームを利用することで、より素早く成ることを実現させている。右腕は駒を掴むこと、左腕は駒の位置を把握し、駒を反転させる役割を持つ。
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