第2回囲碁電王戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 15:13 UTC 版)
「コンピュータ囲碁」の記事における「第2回囲碁電王戦」の解説
2016年11月9日にドワンゴはZen開発者の加藤、東大松尾研、日本棋院と共同で「DeepZenGoプロジェクト」の中間報告を行い、同年9月段階におけるDeepZenGoが、2015年10月にアルファ碁が樊麾に勝った時と同程度の棋力に向上したと推定されることを発表した。これを受けて同時にドワンゴは第2回囲碁電王戦を開催し、DeepZenGoと趙治勲名誉名人が11月19日から23日にかけて三番碁を打つことを発表した。三番碁は互先で日本ルールのコミ6目半、持ち時間はチェスクロックを使用した2時間で切れたら1手1分、ただし1分単位で合計3回の考慮時間があり、途中でどちらかが先に2勝を上げても必ず第3局まで打たれる条件で行われる。対局におけるDeepZenGoのハードウェアスペックはCPU: Xeon E5-2699v4×2(44コア、2.2GHz)、GPU: TITAN X(Pascal世代)×4であり、ソフトウェアとハードウェアの趙への貸与は行われない。 11月19日に打たれた第1局は223手で黒番趙の中押し勝ち。序・中盤ではDeepZenGoが趙をリードし、対局中には立会人の張栩九段が「ここまではボクより強い打ち方をしているのでは。基本がしっかりしている」と評価し、趙も対局後「布石がめちゃくちゃ強い。まだ展開が予想できない序盤での想像力の高さに人工知能の強さを感じた」と振り返った。しかし終盤のヨセでDeepZenGoに疑問手が出ると趙が正確な着手で逆転した。 11月20日の第2局は179手で黒番DeepZenGoが中押し勝ち。DeepZenGoはアルファ碁以外のコンピュータ囲碁として初めて公開の場で互先でプロ棋士に勝利した。DeepZenGoは第1局同様に序盤でリードを築くと最後は趙の大石を殺して勝利を確定させた。開発者の加藤は「感無量です。(持ち時間を1時間近く残して負けた)第1局より一手の考慮時間を1.6倍増やした。最終局に向けてさらに改良を加えていきたい」と語り、趙は「強すぎますね。人間が気がつかない手を打つ。ソフトが出たら勉強したい」と振り返った。 11月23日の第3局は167手で黒番の趙が中押し勝ちし、2勝1敗で三番碁の勝ち越しを決めた。模様を張るDeepZenGoに対して趙が実利を稼いで凌ぐ展開となったが、ヨセに入った段階でDeepZenGoが形勢を過大評価していることを悟った開発者の加藤が投了を判断した。3局全体を振り返って趙は「強かった。日本にきて55年間囲碁の勉強をしているけど、今までの積み重ねは何だったろうというくらい、序盤の感覚は違った。3月にZenの碁を見てから半年でボクは退化したけど、その間にZenはすごく成長した。半年後に対局したら負けちゃうかもしれないけど、恥ずかしいとも、悔しいとも思わない。AIが強くなったら、それを使って勉強して、互いに強くなっていったらいいんですよ。ここまで強くなってくれて感謝の気持ちしかありません」と語り、加藤は「負けたほうが得るものが多い。どこを直せば強くなるのか方向が見えてきたので、得るものが多い対局だった」と総括した。
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