磁場の生成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 04:03 UTC 版)
太陽ダイナモ理論によれば、恒星の対流域は恒星磁場に影響を与える。伝導するプラズマの循環対流はダイナモに似た働きをする。この働きは恒星の磁場を変動させ、双極磁場を生む。恒星は緯度毎に異なった速度で自転するので、磁気は恒星の周囲をまとう「磁束のロープ」のように環状体に巻かれる。そうしてできた磁場は高濃縮されることがあり、高濃縮磁場が恒星面に現れるとき活動性が増す。 伝導性のガスまたは液体をもつ天体の磁場は自分で電流を増幅させ、したがって、自分で磁場も生む。これは異なる自転速度(天体の領域毎に異なる角速度)やコリオリの力、電磁誘導による。電流は莫大な数の開回路と閉回路へ複雑に流れ、それゆえ、回路のすぐ近傍の電流による誘導磁場は煩雑にねじれている。しかし逆に、回路の遠方では、反対方向に誘導磁場が流れるため磁場が相殺され、双極磁場が距離に対して弱まっていくように残存する。主な電流の流れは伝導性物体の主な運動(赤道面上)の方向であるため、磁場を生成する主構成要素は双極磁場をもつ天体の赤道面上の回路であり、したがって天体の自転軸と恒星表面との交差点(地球でいう「北極点」や「南極点」にあたる点)の近くに磁極が形成される。 すべての天体の磁場は、パルサーのような特別な例外を除いて、一般には自転の方向によって決まる。ダイナモ理論の他の特徴として流れる電流は直流ではなく交流である。電流、それに伴って生成される磁場は絶えず自転の軸と何らかの関係をもつが、どちらも多かれ少なかれ周期的に強さを変化し、方向を逆転させる。 太陽の主要磁場は11年ごとに方向を逆転する(すなわち周期は約22年である)。その結果、逆転する時期の付近では磁場の強さが衰退する。衰退期間には、(プラズマにおける磁気制動(英語: magnetic braking)の欠如のために)太陽黒点の活動はピークを迎える。結果として高エネルギープラズマのコロナや太陽系内の宇宙空間への大放出が起こる。急速に衰退する磁場の領域の近辺では、近接する黒点がもつ逆方向の磁場との衝突は強い電場を生じる。この強電場は電子と陽子を高エネルギー(数keV[キロエレクトロンボルト])まで加速させ、極度に高温のプラズマを太陽表面から放出し、コロナプラズマを高温(数100万K[ケルビン])に熱する。 天体のガスや液体が非常に高粘性であれば(特異な運動の乱流を生み)、磁場の逆転はあまり周期的でなくなるとされる。地球の磁場がその例であり、この場合、高粘性の外殻における乱流によって説明される。
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磁場の生成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 07:19 UTC 版)
流体の構造に依存して、ダイナモはいくつかの状態に分類される。例えば、自己励起かつ安定な系、自己励起かつ非線形な系、減衰する系、などである。太陽ダイナモは、自己励起系である。磁場の向きは11年ごとに反転し、太陽の黒点周期を引き起こしている(太陽内部で生成された磁場の一部は、磁束管として太陽表面に浮上する。黒点は、この磁束管の断面と考えられている。)。太陽ダイナモは、タコクラインと呼ばれる領域で発生していると考えられる。タコクラインとは、太陽内部の自転速度の変化(剪断)が大きな領域である。
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