磁場効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 01:00 UTC 版)
高い移動度と最小電気伝導度に加えて、グラフェンは磁場中で非常に興味深い振る舞いをする。グラフェンは通常の量子ホール効果とは系列が 1 / 2 {\displaystyle 1/2} だけずれた異常量子ホール効果を起こす。すなわちホール伝導率は σ x y = ± 4 ( N + 1 / 2 ) e 2 / h {\displaystyle \sigma _{xy}=\pm {4\left(N+1/2\right)e^{2}}/h} である。ここで N {\displaystyle N} はランダウ準位のインデックスで、二つの谷とスピンの二重縮退により 4 {\displaystyle 4} の因子が生ずる。この特徴的な振る舞いは室温でも観測されうる。二重層グラフェンも量子ホール効果を示すが、二重層グラフェンで起こるのは正常量子ホール効果であり、 σ x y = ± 4 N e 2 / h {\displaystyle \sigma _{xy}=\pm {4Ne^{2}}/h} である。最初のプラトーである N = 0 {\displaystyle N=0} は存在しないことから、二重層グラフェンは中性点で金属的になっていることが示唆される。 グラフェンではベリー位相として知られる π だけの位相のずれが見られる。ベリー位相はディラックポイント近傍でキャリアの有効質量がゼロになることから生ずる。グラフェン中のShubnikov-de Haas振動の温度依存性の研究から、エネルギー-波数分散関係では有効質量ゼロとして振舞うキャリアが、有限のサイクロトロン質量を持つことが分かった。
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