磁場方向についての依存性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/13 15:03 UTC 版)
「ストナー-ヴォールファールト模型」の記事における「磁場方向についての依存性」の解説
ヒステリシス曲線の形状は磁場と容易化軸との角度に強く依存する(図3)。もし磁場と容易化軸が平行(θ = 0)であれば、ヒステリシス曲線はもっとも大きなものとなり、hs = 1の反転磁場でmh = 1へと飛び移る。この場合、磁化は磁場に対して平行なところから始まって、その磁化方向が不安定となって反転するまで全く回転しない。一般の場合では、容易化軸と磁場の方向が大きくなるとより磁化の回転が起こりやすくなる。もっとも極端なθ = 90°の(磁場が容易化軸に垂直にかかる)場合、状態の飛び移りは起こらず、磁化は連続的にある方向から別の方向へと回転する(但しこの時も2つの回転方向(φ < 0とφ > 0)がある)。 ある与えられたθの値について、反転磁場に達するとそれまでの磁化方向はエネルギーの最小値(∂2η/∂ φ2 > 0)からエネルギーの最大値(∂2η/∂ φ2 < 0)へと変化する。したがって反転磁化は式(3)と∂2η/∂ φ2 = 0を同時に解くことによって与えられる。その解は h s = ( 1 − t 2 + t 4 ) 1 / 2 1 + t 2 , {\displaystyle h_{s}={\frac {\left(1-t^{2}+t^{4}\right)^{1/2}}{1+t^{2}}},\,} (5) となる。但し、 t = tan 1 / 3 θ . {\displaystyle t=\tan ^{1/3}\theta .\,} (6) と置いた。ここから規格化された反転磁化は0.5 ≤ |hs| ≤ 1を満たすことがわかる。 反転磁場を表す別の方法は磁場h を容易化軸方向の成分h|| = h cos θ’’とそれに垂直な成分h⊥ = h sin θに分けることである。この時、反転磁場は h ∥ 2 / 3 + h ⊥ 2 / 3 = 1. {\displaystyle h_{\parallel }^{2/3}+h_{\perp }^{2/3}=1.\,} (7) を満たす。それぞれの磁場方向の成分を縦軸と横軸にとってプロットしたものはストナー-ヴォールファールトのアステロイド(w: Stoner–Wohlfarth astroid)と呼ばれる。このアステロイドから作図によって磁気ヒステリシス曲線を計算することも可能である。
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