石野純也による論評
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 08:34 UTC 版)
「BALMUDA Phone」の記事における「石野純也による論評」の解説
ITジャーナリストの石野純也は発売前の11月20日、本製品の価格について次のように批判した。 もちろん価格設定はメーカーの自由である。新参メーカーが1機種だけのために独自のデザインやアプリを開発したことで、コストが高かったのも事実だろう。 しかし、それはあくまでメーカー側の事情にすぎない。同程度の性能で4万円程度のスマホ(OPPOの『Reno5 A』やXiaomiの『Mi 11 Lite 5G』など)と比較すると、本製品でしかできないことは少ない。 独特の形状で持ちやすく、所有欲は満たせるものの、スマホとしての機能は独自アプリのほかに差がない。むしろ、小型化のトレードオフとして表示領域が小さいことや電池容量が小さいことで、不利になる部分もある。 本製品に落胆の声が多かったのは、他のスマホとの差分に価格差ほどの価値が見出だせなかったためといえる。 外観と基本アプリだけの差別化では、スマホ市場、特に10万円以上の高性能市場で戦うことは難しい。その市場では、より本質的な要素での戦いになるからだ。例えばAppleやGoogleは、省電力性能を満たしつつ処理性能を最大化するためにプロセッサを自社で設計して差別化している。サムスン電子は折りたたんで大きさを変えられる画面で差別化している。ソニーはカメラ撮影のために『Xperia PRO-I』に自社設計センサーを搭載して差別化している。 翻って、本製品にそこまでの売りがあるのだろうか。 バルミューダ社はこれまで家電製品について『体験価値』を売りに数々の商品をヒットさせてきたが、本製品ではその“必勝パターン”が生かされていない。例えばバルミューダのトースターはおいしいトーストが焼けるし、扇風機は風が自然である。このように機能は単一ながらも製品の本質を突いた特長があった。 スマホにとって外観や基本アプリはあくまで『味付け』であり、むしろ上記のようにプロセッサや画面、イメージセンサーとソフトウェア、ネットワークの融合による体験価値の方が本質に近い。 バルミューダがこれまで家電製品について一点突破的に機能を磨き上げてきた手法と、汎用製品であるスマホとは相性が悪いことも、本製品の売りが分かりづらい要因の一つといえる。 この不満の大きさは、バルミューダに対する期待の高さの表れの裏返しといってもいい。同じIT機器でも、スマホよりも汎用性が低く、絞り込んだ機能で戦える分野はある。例えば、フィーチャーフォン(ガラケー)はその一つだ。寺尾氏は「人々はスマホという便利なものにくぎ付けになりすぎている」と語っていたが、それならば機能を削ぎ落とした電話があってもいい。 また、デジタルフォトフレームやスマートスピーカーなどでも、バルミューダの特徴を発揮しやすいかもしれない。 バルミューダは今後もIT機器を開発していくという。今後の展開を期待して見守りたい。
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