石油ファンヒーター事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 01:53 UTC 版)
「リコール (一般製品)」、「パナソニック#FF式石油暖房機の欠陥による死亡事故」、「パロマ湯沸器死亡事故」、および「リンナイ#リンナイ湯沸器死亡事故」も参照 1984年(昭和59年)に発売された石油ファンヒーター「CFH-S221F」を使っていた45人が一酸化炭素中毒となり、うち4人が死亡した。原因は空気取入口が上に向いていたためで、そこにホコリがたまって不完全燃焼を起こしやすくなっていたとされる。暖房器具の安全性が見直された重要な事件である。 事件が多発した1985年(昭和60年)から1986年(昭和61年)にかけて、三洋はその後のテレビCMや新聞広告などのマスメディアで『三洋電機からのお詫びとお願い』と題したリコールにより回収を進め、提供番組では数ヶ月間通常のテレビCMを自粛した。なお、このCMは日本初の宣伝を目的としない「リコールCM(お詫びCM)」とされており、事故を起こした製品の写真とテロップ(スーパーインポーズ)が表示され、男性ナレーター(津田英治)が事故の報告と謝罪、製品の回収ならびに修理依頼のお願いをBGM無しで淡々と語るストレートニュースのようなものだった。さらに1986年1月には前年12月に起きた事故により新タイプのCMが制作され、CMの途中には「人命に及ぶ重大事故の恐れ」という恐怖心を煽らせる文言が加えられた。 20年後となる2005年(平成17年)以降に発覚した松下電器のFF式石油暖房機の欠陥による死亡事故、パロマ・リンナイ製ガス給湯器による死亡事故が発覚した際にも、これに類似したCMが長期間放映され、お詫びCMのデファクトスタンダードおよびテンプレートと化した。 この事故を受け、当該ファンヒーターを製造した子会社の東京三洋電機を吸収合併すると同時に、ブランドロゴ(ワードマーク)を一新し「第二の創業」に踏み切ることとなる。 2002年10月1日にも、リコール回収から漏れたと思われる「CFH-S221F」が茨城県潮来市で不完全燃焼による一酸化炭素中毒事故を起こしている。 また1994年(平成6年)から1998年(平成10年)にかけて、同社が生産・発売した石油ファンヒーターによって瞬間的に炎が噴き出るという事故もあった。症状は、燃料検出センサーが故障した状態で運転を続けた場合、灯油を使い切る直前に温風吹出し口から瞬間的に炎が出てすぐに運転を停止してしまうというもの。原因は、灯油を使い切る直前に灯油と一緒に空気が吸い込まれることで、燃焼状態が不安定になるために生ずる一時的なものである。三洋で22機種販売したほか、ユアサプライムス(ユアサ)は4機種、日本電気ホームエレクトロニクス(NEC)でも3機種、同様の機種を販売している。 これらの事故をきっかけに、三洋は2001年(平成13年)に石油ファンヒーターの製造を終了。石油ファンヒーターからは撤退したが、FF式石油暖房機は2007年(平成19年)まで継続して製造された。 2005年(平成17年)以降、未点検機種がまだ存在することが利用者からの修理問い合わせなどで発覚しているため、過去に事故が発生した上記2製品の回収告知を事業を承継したパナソニックで再び行っている。
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