病気・経済的理由以外の長期欠席問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/26 22:11 UTC 版)
「長期欠席」の記事における「病気・経済的理由以外の長期欠席問題」の解説
日本の文部科学省においては、病気や経済的理由をのぞいた任意の長期欠席を、「不登校児童生徒」と呼んで統計を取っている。文部科学省発表や、マスメディアでいう「不登校」とは、多くの場合、この「不登校児童生徒」(最狭義の不登校)が学校に登校していないことである。この統計については「不登校 (理由別長期欠席者数)」で詳述している。 文部科学省による公式な定義では、「不登校児童生徒」とは、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため、年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」としている。連続した欠席だけではなく累計である。特に小学校・小学部、中学校・中学部、中等教育学校前期課程に限定されることが多い。(ただし、長期欠席に関する論議や統計を行う場合は、学齢期でありながら、または就学を望んでいながら小学校・中学校・高等学校などに在籍していない非就学者についても、その存在を見落としてはならないとする意見もある) この定義によれば、2006年度は全国で12万6764人、1.17%程度(小学生302人に一人、中学生35人に一人)の不登校児童生徒が存在し、特に中学校では平均して学級に1人の不登校児童生徒が存在する計算となる。 日本の不登校児童生徒の割合は先進国中では最も低い。欧米では概ね8-16%程度の児童、生徒が「不登校」であると言われている[疑問点 – ノート][要出典]。 文部科学省が調査した原因は「その他本人に関わる問題」が非常に多いが、これは本人の直接回答ではなく学校側が面談等を通して判断し、回答を出しているためと思われる。 病気や経済的な理由による者を除いた長期欠席は、かつていじめの増加によるものだ、という考えが蔓延したが、全ての不登校児童生徒がいじめ被害に起因するものではないので、一面的であり、すべての事実を的確に述べているとは言いがたい。 また同様に、「不登校は病状である」という考えがあるが、現在の不登校児童生徒の定義は身体的・精神的病気によるものを除外して考えることが大勢であり、治療の対象ではないといわれている。しかし、小児科、精神科それぞれの研修体系は大きく異なり、かつ、小児科と精神科の双方の専門的研修を受けた医師(いわゆる小児精神科医)は、きわめて少ない。そのため、医学的根拠に基づく「病識のない精神疾患」であるという診断が行われるのは、きわめて少数である。医学的根拠に基づく小児精神医学への取り組みは少数に留まるものの、医学界における断定的な完全否定はない。なお、「病気によるものを除く」とされているが、身体的な疾患についてはともかく、精神的な疾患の場合は、判断基準があいまいだとされている。 さらに学校に行ける者でも、登校の際に心身症的症状としての腹痛やめまいなどが現れたり、登校しても保健室や図書室、各学校が用意した特別教室までで、自己が所属する学級の教室まで行くことができないなどの状態も見られる(俗に「保健室登校」などと呼ばれる)。そのような学校に対する不適応の現象も総称して、不登校と呼ぶこともある。
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