生理学的原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 23:12 UTC 版)
セルフコントロールに必要とされるエネルギーの特定の形としてのグルコースの役割は研究者によって調査されてきた。グルコースは、多くの食品の中にある糖であるが、身体と脳にとってきわめて重要な燃料である。複数の実験がセルフコントロールの消耗を血糖値の低下と結びつけ、セルフコントロールのパフォーマンスはグルコースの摂取により回復すると主張した。しかし、いくつかの発見は後に疑問視された。最近のいくつかの実験では、リソースの消耗効果は甘い飲み物を味わうだけ(飲み込まず摂取しない)でも逆転するとされており、甘い飲み物には報酬的な性質がある可能性がある。他の研究は(人工甘味料ではない)糖の味が心理生理学的なシグナリング効果を持つと主張している。 SegertromとSolberg Nesによる実験はHRV(英語版)(心拍数の変動)が自我消耗のしるしであり、タスクの前のセルフコントロール力の指標であることを示した。 セルフコントロールの失敗と結びついた根底にある神経プロセスは最近神経生理学(英語版)の技術を用いて調査されている。精神コントロールの認知と神経科学モデルによれば、「葛藤モニタリング/エラー検出システム」が意図したゴールと実際の行動のあいだの矛盾を特定している。 エラー関連陰性電位(英語版) (ERN) シグナルはイベントに関連した電位の波形であり、個人がさまざまな心理学的タスクでエラーを犯したときに前帯状皮質に現れる。脳波(EEG)の記録により、InzlichtとGutsellは感情抑制タスクを受けた個人は、感情抑制タスクを受けなかった個人よりも弱いERNシグナルを見せることを発見した。これらの発見はセルフコントロールを行使した後の消耗は葛藤モニタリングを担当する神経メカニズムを弱めるという以前のエビデンスを説明している。 自我消耗研究の大部分は大学生に対して行われてきており、結果が実際どれだけ一般化できるのかについての懸念を生んできた。年齢の影響は不明であるが、セルフコントロールに関わる脳の部位が20歳台の半ばまで発達を続けることを考えると、より若年層では自我消耗効果に影響されやすいかもしれない。たとえば最近の研究は、40歳以上の人々は典型的な消耗の操作をうけても自我消耗の状態にならないが、より若い大学生では自我消耗の状態になることを発見した。
※この「生理学的原因」の解説は、「自我消耗」の解説の一部です。
「生理学的原因」を含む「自我消耗」の記事については、「自我消耗」の概要を参照ください。
- 生理学的原因のページへのリンク