獣医学部設置の経過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 23:16 UTC 版)
文部科学省は、1966年の北里大学での獣医学部新設以来、獣医学部を新設することは認めず社会的需要の観点から獣医師数を抑制してきた。今治市は、BSEや鳥インフルエンザなどの流行により畜産部門の獣医師の需要が拡大する一方で、新規に育成される獣医師の過半数が愛玩用ペットを中心とした小動物を診療分野を選ぶようになり、畜産部門の獣医師は不足している、としている。また既存16の獣医学部は北海道に3つある一方で関西には1つしかないなど、東日本に偏在していた(定員数の合計は東日本765名に対し、西日本は165名)。特に四国4県とそれに隣接する広島県、岡山県、兵庫県には、獣医学部が存在しなかった。 今治市では2007年から15回にわたって構造改革特区を利用した獣医学部の新設を求めたが、文科省は高度専門職業人たる獣医師養成には従前の高度専門職と同様、全国的見地から対応することが適切だとして、今治市の特区活用による獣医学部の新設は認めなかった。 2013年、第2次安倍内閣の下で国家戦略特別区域が制度化され、2015年6月に内閣府が「現在の提案主体による既存の獣医師養成ではない構想が具体化し、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、かつそれらの需要について、既存の大学学部では対応が困難な場合には、近年の獣医師の需要の動向を考慮しつつ全国的な見地から検討する」ことを閣議決定、獣医学部新設を募集した。2016年1月に今治市が国家戦略特別区域の指定を受けた。10月7日、政府ヒアリングに対し、京都府と京都産業大学も獣医学部設置構想を提示したが、11月9日、国家戦略特区諮問会議が「広域的に獣医師系学部が存在しない地域に限り」獣医学部の新設を可能とする法改正の実施を決定した。 2017年1月4日、内閣府が今治市で2018年4月に獣医学部を開設可能な1校を募集し、1月20日、事業者として加計学園を選定した。加計学園(岡山理科大学)は3月31日に文部科学省に設置認可を申請した。文部科学省の大学設置審議会の審査においては、過大な定員数や閣議決定時の認可条件(上述)との齟齬部分、実習計画の不透明さ並びに教員配置等、計7件の是正意見が付き、学園側の改善を経た答申の段階においても8件の留意事項が付されたが、11月10日、学部新設を認可され、翌年4月に開学した(日本国内では52年ぶりの獣医学部新設大学)。なお、加計学園は獣医学部新設の申請前から土地を取得してボーリング調査を行ったほか、教員の手配も行っていた。
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