狭まる包囲網
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 19:21 UTC 版)
「日産自動車の役員報酬に係る不正」の記事における「狭まる包囲網」の解説
本事件においては多数の関係者がゴーンの逃亡・密出国を手助けしたと見られ、各国で逮捕が相次いだ。 1月2日にゴーンの密出国に協力したとして、プライベートジェット機を運行したMNG航空のパイロット4名と会社幹部1名、客室乗務員2名の計7名がトルコで逮捕され5月7日にトルコ検察当局に起訴された。一方で現地のヒュッリイェト新聞は、会社幹部の男の「知人Hから家族に危害を加えると脅された」という証言も報じている。2021年2月24日、イスタンブールの裁判所は、会社幹部の男とパイロット2人にいずれも禁錮4年2月の実刑判決を言い渡した。他の操縦士2人と客室乗務員1人は無罪、別の客室乗務員1人は公訴棄却となった。 2020年1月7日、東京地検特捜部が証人尋問で嘘の証言をしたとして、偽証の容疑でDの逮捕状を取得。ICPOを通じて国際手配が要請された。また、同月、東京地検特捜部は、ゴーンの逃亡を手助けしたとしてアメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー)出身の男ら2人を含む3人の逮捕状を取得した。その後、2020年5月20日に、アメリカ当局によって元グリーンベレー隊員のEと、その息子のFが身柄を拘束され、日本政府が引き渡しを請求した。 アメリカ国務省は2020年10月に犯罪人引き渡し条約に基づいて容疑者の身柄を日本側に引き渡すことを認めたが、容疑者側が「不当な扱いを受ける恐れがある」として差し止めを申し立てた。しかし、連邦地方裁判所、連邦控訴裁判所、および、連邦最高裁判所が申し立てを退けたため、2021年3月2日未明(日本時間)にボストンのローガン空港でEとFの身柄が日本側に引き渡され、2人を乗せた飛行機が日本に向けて離陸した。東京地検特捜部によって犯人隠避容疑で逮捕された元軍人Eとその息子Fの親子は、2021年3月2日16時過ぎ(日本時間)に成田空港に到着し、入国手続きやPCR検査を受けた後、同日21時30分過ぎに東京拘置所に収容された。 米当局の捜査により、逃亡の手口の詳細が明らかになりつつある。報道によれば、六本木にあるグランドハイアット東京の部屋を手配し、ゴーンとともに逃亡の打ち合わせをしていた。当日は午後2時半頃に保釈中の自宅から同ホテルへ徒歩で向かった。同ホテルでカルロス・ゴーン、元軍人E、元軍人の息子 F、更にもう1人の逃亡協力者Gの4人が合流し、元軍人の息子Fのみ成田空港から中国経由で移動。残りの3人は品川駅までタクシーを使用し、東海道新幹線で新大阪駅に移動。関西国際空港にほど近いスターゲイトホテル関西エアポートで、ゴーンが箱に入って「荷物」として積み込まれた。関係者のうち残りの1人、逃亡協力者Gは現在も逃亡中である。 2020年7月には、ブルームバーグニュースが、ゴーンの息子Aが元軍人の息子Fに仮想通貨プラットフォーム、コインベースを介して支払いを行っていたと報じている。 なお密出国事件によって共犯に問われたグレッグ・ケリー被告の裁判はゴーン抜きで進められている。 2021年4月3日、ゴーンは産経新聞の取材に対して、改めて日本の司法批判と逃亡の「正当化」を行った。 2021年7月19日、東京地方裁判所は犯人隠避の罪に問われた元軍人Eに懲役2年、元軍人の息子Fに懲役1年8カ月の実刑を言い渡した。両被告は控訴しない方針であり、7月28日付で判決が確定した。
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