特急・急行用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 15:32 UTC 版)
現在の特急・急行用グリーン車の源流となるのは、1950年に製造された初の特別二等車であるスロ60形である。翌1951年に製造されたスロ53形では、後の特急・急行用グリーン車の標準様式となる座席間隔(シートピッチ)1,160 mm、20 m級全室車の場合定員48人が確立された。この様式は、1986年の国鉄最末期に製造されたキロハ186形にまで踏襲されている。なお、後述する民営化後も定員や横2+1配列の登場などの点で差異のある車両は登場しているものの、シートピッチ1,160 mmの寸法は一部の例外を除いてスロ53形の登場後65年以上の長きにわたり踏襲され続けている。 1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化後は、標準化を旨とした国鉄時代と異なり、国鉄を引き継いだJR旅客鉄道会社が線区や列車の事情に応じた設備のグリーン車を製造あるいは既存車を改造した。これにより、グリーン車の設備は一気に多様化した。それまでは2+2人掛けの4列配置が一般的であった座席配置も、観光需要の多い路線・列車を中心に2+1の3列配置が採用され、一部の路線を除いて新造・改造車ともに拡大する傾向にある。 また平成期以降、私鉄各社にもに僅か数百円の追加料金で横幅の広い2+1列のデラックス型シートに乗車できる列車が設定された。こうしたことなどから、シートピッチは広くても2+2では見劣りすると考える乗客の価値観の変化も影響していると考えられ、中には個室を設置する列車も現れた。 こうして2+1人掛けの3列配置が国鉄の民営化以降主流となっていったが、JR東日本では1993年(平成5年)に営業運転を開始した255系以降の特急形車両では、ジョイフルトレイン以外ではわずかな例外を除き、定員確保の観点から再度国鉄時代のような2+2の配置となっている。なおJR東日本では自社線内に限り、グリーン車を利用する場合は新幹線および一部の特急を除いて乗車距離が300 km以内のグリーン料金が他のJR各社より240 - 1,000円安く設定されている。またJR東海でも、最初期に登場したサロハ371形およびキロ85形では2+1配置を採用したが、その後導入したクロ383形では2+2配置に戻されている。 新幹線では車体幅が在来線より広いこともあり、東海道新幹線開業時から基本的に2+2列の配置である。例外は、100系・200系にかつて存在した1 - 4人個室と、いわゆるミニ新幹線として在来線規格で製造された400系が2+1列として設定されたのみである。なお、ミニ新幹線用として後に製造されたE3系以降は定員確保のため2+2列で配置されている。 座席についても、従来からの標準であったリクライニング機構、テーブル、フットレストのみならず、レッグレストを設置したり、特にJR民営化直後に登場した列車では各席に小型液晶テレビを設置したり、音楽を配信するオーディオ・ヴィジュアルサービスを提供したりするものまでが出現した。また、サービス面でも、フリードリンク・菓子類や雑誌(車内誌)の提供、女性客室乗務員によるサービスなど内容の向上が見られたが、現在では経費削減のため軒並み取り止められている。
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