江戸時代における一茶の著作の出版とは? わかりやすく解説

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江戸時代における一茶の著作の出版

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 21:51 UTC 版)

小林一茶」の記事における「江戸時代における一茶の著作の出版」の解説

一茶発句集」の出版は、門人たちによる亡き師匠対す顕彰追善の意味合い強かったが、嘉永元年1848年)、一茶のことを私淑していた今井墨芳の手によって、長野書肆向栄堂から嘉永版の「一茶発句集」が出版された。当時没後20年以上も経ってから句集発行されるのは異例なことであり、一茶根強い人気があったことがわかる。この嘉永版一茶発句集」は、その体裁から江戸版元依頼して印刷製本したものと考えられている。また文政12年1829年刊行の「一茶発句集」との大きな違いは、今度営利目的出版でもあった。嘉永版一茶発句集」は信濃ばかりではなく江戸で販売行い、数種類の版が確認されていることからかなり売れたものと考えられる。 そして嘉永5年1852年)には「おらが春」が出版される出版したのは中野白井一之。白井一茶門人山岸塵が所有していた一茶筆の「おらが春」を譲り受け出版踏み切った。ところで一茶筆の原本には題名付いていなかったが、白井出版する際に、巻頭文に続く句である 目出度さもちう位也おらが春 から、「おらが春」と命名した。 この白井一芳の「おらが春」の出版は、あくまで私家版であって長野で少部数流通したに留まったが、初版の「おらが春」には体裁が違うものが確認されており、これは売れ行き良かったために増刷されたものと考えられている。 「おらが春初版本跋文は、俳人の惺庵西馬が執筆した。西馬は (一茶の)発句のをかしみは、人々口碑残り世の語り草となるといへどもただに俳諧の皮肉にして、此坊(一茶)の本旨にはあらざるべし。……ざれ言淋しみを含み可笑(おかしま)にあはれを尽くして人情世態無常観想残すところ無し。 と、一茶作品本質的確に表現した嘉永7年1854年)、初版本版木そのまま用い江戸神田石町書肆須原屋源助が「おらが春」を再刊する。ただし当時は「おらが春」の知名度がほぼ皆無であったため、俳句界では名が通っていた一茶の名を用い、「一茶俳諧文集」と題して売り出した須原屋源助俳書専門出版業者では無かったが、売れ行き見込んで出版踏み切ったものと考えられている。なお、須原屋源助に「おらが春」を紹介したのは嘉永版一茶発句集」を出版手掛けた今井墨芳であった見られている。 明治中期までの一茶像や評価は、江戸時代出版され文政版嘉永版の「一茶発句集」、「おらが春」によって形作られた。中でも一茶俳文代表作である「おらが春」は、一茶の名を全国広め上で大きな役割果たした。なお、白井一之による「おらが春」の版木は、大正12年1923年)、関東大震災による火災焼失するまで発行者出版社変えつつ使用され続けた。 なお、没後一茶評価俳句愛好者の中では高いものがあった。それは一茶の書が高値取引されていたことからも明らかである。没後一茶決し埋もれてしまったわけではなく化政期代表する俳人としての不動評価があった。この一茶高い評価背景には、江戸期刊行され文政版嘉永版の「一茶発句集」、「おらが春」が影響していた。

※この「江戸時代における一茶の著作の出版」の解説は、「小林一茶」の解説の一部です。
「江戸時代における一茶の著作の出版」を含む「小林一茶」の記事については、「小林一茶」の概要を参照ください。

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