水溶液の液性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 01:21 UTC 版)
水溶液の液性は、液体に含まれる水素イオン H+ と水酸化物イオン OH− の多寡で決まる。液体中に存在する H+ の数が OH− の数よりも多いとき、その水溶液は酸性を示す。逆に、H+ の数が OH− の数よりも少ないとき、アルカリ性を示す。H+ の数が OH− の数とちょうど同じときは、酸性でもアルカリ性でもなく、中性である。 溶液の酸性がそれほど強くないとき、その溶液を弱酸性溶液という。溶液のアルカリ性がそれほど強くないとき、その溶液を弱アルカリ性溶液という。酸性とアルカリ性の境目のpHは、明確に定まる。それに対して、強酸性と弱酸性、弱酸性と中性、中性と弱アルカリ性、弱アルカリ性と強アルカリ性のそれぞれの境目は、曖昧である。科学的にはこれらを分ける境界線は存在しない。法令などでは、便宜上、適当なpHで線を引いてこれらを分類する。一例として、家庭用品品質表示法における漂白剤・合成洗剤・石鹸などの液性を示す用語とpH範囲を表に示す。 雑貨工業品品質表示規程における漂白剤・洗剤などの液性液性pHの範囲酸性 pH < 3.0 弱酸性 3.0 ≦ pH < 6.0 中性 6.0 ≦ pH ≦ 8.0 弱アルカリ性 8.0 < pH ≦ 11.0 アルカリ性 11.0 < pH 日本の温泉の分類では、液性を示す用語はこの表と同じであるがpH範囲が異なり、中性と弱アルカリ性の範囲が狭くなっている。詳しくは「泉質#液性による分類」を参照のこと。 以下の表は、身近な液体のうちから酸性またはアルカリ性を示すものをいくつか選んで、pHの低い順に並べたものである。この順序は絶対的なものではない。水に溶けている酸・塩基の濃度によりpHは変化するので、濃度によって順序は入れ替わる。また、表の1列目に示したpHの値は、大まかな目安である。 身近な液体のpHpH液体酸性・アルカリ性の強さ酸または塩基0未満鉛蓄電池の電解液 とても強い酸性 H2SO4 010%硫酸(日本薬局方 希硫酸) とても強い酸性 H2SO4 1胃液 とても強い酸性 HCl 2レモンの果汁 強い酸性 クエン酸 3酢 やや強い酸性 酢酸 4ミョウバン水 やや弱い酸性 [Al(H2O)6]3+ 5コーヒーのブラック(砂糖・ミルク抜き) 弱い酸性 数種のカルボン酸 6雨水 わずかに酸性 CO2 7純水 中性 8海水 わずかにアルカリ性 CO2, HCO3− 9ホウ砂水 弱いアルカリ性 ホウ砂 10石鹸水 やや弱いアルカリ性 脂肪酸Na, 脂肪酸K 11アンモニア水 やや強いアルカリ性 NH3 12石灰水 強いアルカリ性 Ca(OH)2 13家庭用塩素系漂白剤、カビ取り剤 とても強いアルカリ性 NaOH 144%水酸化ナトリウム水溶液 とても強いアルカリ性 NaOH 14以上アルカリ乾電池の電解液 とても強いアルカリ性 KOH
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