民族共同体と英雄主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 15:37 UTC 版)
「ナチスのプロパガンダ」の記事における「民族共同体と英雄主義」の解説
敵と味方を明確に分け、また両者の違いを事細かに、多くは人種主義を基盤に際立たせ、加えて共同体、同志、郷土、国民、民族といった概念を祭祀的に関連付けることで、同質な「民族共同体」が創設され、「ドイツ人」は皆その一員であるとされた。この「血と大地のイデオロギー」を基盤とする共同体に向けられたメッセージとは、外敵に対する戦争に負ければ「共同体が死滅」するといったものであった。これは無条件の英雄主義と兵士も市民も国民のために献身といったかたちで示された。 「ドイツ的美徳」、例えば力強さ、戦う勇気、規律、「鉄の意志 (eiserner Wille)」などを賛美したが、これは「ユダヤ的」とされた知識人すべてに対するルサンチマンから出たものであった。また「人種的退化」とされた現代を拒絶した。この「文化的退廃」はここでもまたユダヤ人の仕業とされた。現代美術、特に表現主義の作品は「退廃芸術」とされ、人前から撤去、または破却され、こうして著名な芸術家の重要作品が永遠に失われることになった。学術的な作品の他に、政権の世界観と相いれない、特に左翼の作家(ヴァイマル共和政で最も重要な作家の中でもベルトルト・ブレヒトやハインリヒ・マンなど)の書籍も同様に禁止され、公の場で行われた焚書において「非ドイツ的」として焼却された。 ナチスの芸術(ドイツ語版)自体は、民族的な理想を志向し、文学では特に郷土文学(ドイツ語版)が人気を集めた。造形芸術では、農民の素朴さを表現する他は、外面上、古代ギリシアと古典主義の理想を志向した。例えばアルノ・ブレーカー(ドイツ語版)の塑像や、レーニ・リーフェンシュタールの映画では、とりわけ英雄的ポーズを決めた「ドイツ的戦士」が表現された。均整の取れ、優れた肉体の「アーリア的英雄」が誇示され、またたくましい肉体の労働者、特に現場労働者が、重労働に「国民のために献身的に従事する」姿も同様であった。 歌曲『君は東方に朝焼けを見るか』は戦争準備に非常に役立った。リフレイン「民衆よ、武器を取れ!」は分かりやすく、人々に広まっていた。
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