母語話者とエスペラントの中立性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 23:06 UTC 版)
「エスペラント母語話者」の記事における「母語話者とエスペラントの中立性」の解説
エスペラントは、世界中の人々にとって平等な第二言語としての国際補助語を目指してつくられた。ゆえにエスペラント運動では、原則としてエスペラントは誰の母語にもなるべきではないと、少なくとも建前の上では謳われている。そのため、母語話者の出現は母語話者と第二言語話者の間に不平等を生み出してエスペラントの中立性を破壊するとする意見が強く、多くのエスペランティスト[誰?]が公式に不快感を示している[要出典]。 一方、母語話者の出現はエスペラントを自然言語と対等の完成された言語とするために必要不可欠であり、エスペラントの発展のために歓迎すべきだという意見もある[要出典]。また、エスペラント母語話者は少なくとも直ちにこの言語の中立性を脅かす存在とはなりえないという主張もある[誰によって?]。 一般に自然言語、もしくはそれと同等な機能を獲得したクレオール語や人工言語の母語話者は、第二言語話者よりも語学力の様々な面において語彙や発音、文法的・語法的直感など極めて有利な立場にある。これは、エスペラントでも同様であるため、エスペラント母語話者の出現は第二言語としてのエスペラント使用者との間にエスペラントの使用能力の多大な格差を生んでしまい、エスペラントの根底である中立的国際語という概念を揺るがすものだという主張が保守的エスペランティスト[誰?]の中には多い。誰の母語でもないということは、誰もが学習を通してでしか身につけられないということであり、その限りにおいて中立的だといえるからである[要出典]。 反対に母語話者の出現に賛同する人々もいる。エスペラントが母語話者を獲得することはエスペラントを完全な意味で自然言語と対等の地平に立たせるために必要不可欠であり、エスペラントに言語としての魂を吹き込むことだと主張している[要出典]。第一言語話者という存在は一般にその言語を自由自在にあやつれる存在であるため[要出典]、政治的思想を離れた純粋な言語としてのエスペラントの発展にとっては母語話者の出現がよいことであるのは否定しがたいとされる[誰によって?]。 母語話者の出現は今のところ中立性を破壊する心配はないという意見の擁護者[誰?]は、エスペラントは民族語とは違い、母語話者のコミュニティーを持たないため母語話者といえどもその言語を第一言語として成長することは通常は不可能であるとの考えから、エスペラント母語者が非母語話者に比べて有利であることは事実だが、多くの場合はエスペラントがもっとも得意な言語でないという意味で非母語話者とかわらず、自然言語のような圧倒的な差は生まれないと主張している[要出典]。 現実に、エスペラント母語話者の多くがエスペラント語以外の言語を第一言語として成長することもこの見解を支持する要因である。ただし、将来エスペラントが更なる広がりをみせ、母語話者の人数が拡大した場合、この前提は崩れる可能性があり、エスペラントを第一言語とする人間が継続的に生まれうる環境が整う可能性もある[独自研究?]。 エスペラントの中立性に対する楽観的見解を示すグループ[誰?]によれば、エスペラントはきわめて文法的規則性が高く習得しやすい言語であるため、たとえ幼いころからエスペラントだけで育ち、エスペラントを第一言語とする者がいたとしても、第二言語としてのエスペラント学習者も最終的にその水準までエスペラントの能力を高めることが可能だという[要出典]。ただし、現在の言語学における主流的見解からすれば、文法的規則性や文法規則の少なさは実際には言語全体の易しさ、難しさには関係なく、すべての自然言語とそれに準ずる言語は、中立的視点からすれば同等程度の難しさをもっているとされている[独自研究?]。 現に、エスペラントほどではないにせよ文法規則が少ない、または規則的であるとされるマレー語やアイマラ語なども、他の言語より習得が一般的に簡単であるという経験則は知られておらず、第一言語話者と第二言語話者の能力差が他の言語に比べて低いという証明もされていない[要出典]。ただ、エスペラントはヨーロッパ諸語を基にしており、類似した言語の習得効率は一般にかなり高いため、ヨーロッパ諸語を第一言語としている人間の場合、エスペラントの第一言語話者との言語能力的格差は一定程度ちぢまる可能性がある[独自研究?]。
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