歴史と仕様
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 14:34 UTC 版)
「Ferranti Mark 1」の記事における「歴史と仕様」の解説
1号機は1951年2月にマンチェスター大学に納入されており、UNIVAC I がアメリカ合衆国国勢調査局に納入されたのはその約1カ月後のことである。 イギリスのフェランティが製造した。マンチェスター・ビクトリア大学のフレデリック・C・ウィリアムスとトム・キルバーンが設計した Manchester Mark I をベースにしている。Manchester Mark I は事実上 Ferranti Mark 1 のプロトタイプとして役立った。主な改良点は記憶装置の容量増、乗算器の高速化、命令の追加である。 Mark 1 のワード長は20ビットで、ウィリアムス管ディスプレイの一列のドットの数と対応しており、各ウィリアムス管は64列のドット列を格納できる。命令は1ワード、数値は2ワードで格納される。主記憶装置はウィリアムス管8本で構成され、1本の格納する64ワードを1ページと呼ぶ。他に、80ビットのアキュムレータ (A)、40ビットの「非乗数/商レジスタ」(MQ)、8本のBラインすなわちインデックスレジスタがあり、特にインデックスレジスタは Mark 1 のユニークな機能となっていた。アキュムレータは40ビットワード2つとして使用することもできる。ウィリアムス管ごとに追加の20ビットワードがあり、二次記憶装置へのオフセット値を格納している。二次記憶装置は512ページの磁気ドラムメモリであり、1トラックに2ページを格納し、約30ミリ秒で1回転する。Manchester Mark I の当初の設計に比べると、磁気ドラムは8倍の容量になっている。 命令は1オペランド形式で、演算結果はアキュムレータに残す。全部で約50種類の命令がある。基本サイクル時間は1.2ミリ秒で、乗算は新たな並列ユニットを使って2.16ミリ秒で完了する(オリジナルの5倍の性能)。マシンを構成する4,050本の真空管のうち4分の1が乗算器に使われている。ウィリアムス管上のメモリワードの内容をさん孔テープ装置に出力する命令や、逆にさん孔テープリーダーからメモリにデータを転送する命令などもある。他にも乱数を発生させる命令、Bラインを使った命令などが追加されている。 Manchester Mark I では、テレタイプ用5ビット符号(Baudot Code に似た符号)に対応した文字列をテレタイプ端末から入力することでさん孔テープにプログラムを入力していた。テープ上の穴の配置が二進数と直接対応するようにしているため、キーボードのキーと符号との対応はランダムとなっている。従って、5ビットで表される0から31までの数に対応するキーボード上の文字を順に並べると /E@A:SIU½DRJNFCKTZLWHYPQOBG"MXV£ となる。各命令は基本的に1文字で表される。 1号機はマンチェスター大学に納入された。フェランティはさらに売ろうとし、ハーウェル原子力研究所(英語版)から注文を受けて励まされた。同研究所には1952年秋に納入予定となっていた。ところが1951年秋に政権交代があって契約はキャンセルとなり、ほぼ完成していた Mark 1 だけが残された。FERUTと名付けられたこのマシンは、トロント大学が安く購入することになり、納入後は大いに活用された。
※この「歴史と仕様」の解説は、「Ferranti Mark 1」の解説の一部です。
「歴史と仕様」を含む「Ferranti Mark 1」の記事については、「Ferranti Mark 1」の概要を参照ください。
- 歴史と仕様のページへのリンク