正体判明までの経緯とは? わかりやすく解説

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正体判明までの経緯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 15:35 UTC 版)

ネメシス (人工衛星)」の記事における「正体判明までの経緯」の解説

後にネメシス1と同定されることになる、アメリカ合衆国機密衛星USA-207は、2009年9月8日アトラス V 401 ロケット用いてケープカナベラル空軍基地から打上げられた。打上げロケット静止軌道への衛星投入能力から考えて衛星質量最大4950 kg推定された。 この衛星の名称がPANであること、ロッキード・マーティン社により製造され衛星バス同社通信衛星用のA2100用いていること、以前から存在明らかにされている同社のP360として知られているプロジェクトと同じものであることなどは、打上げ前後ロッキード・マーティン社のニュースリリースなどで明らかになっていた。しかし、アメリカ国家偵察局 (NRO)を含めアメリカ政府のどの機関所属するかは公表されていなかった。これは異例のことであり、NROL番号割り振られていない打上げ翌日に、米空軍宇宙軍団 (Air Force Space Command)はニュースリリースにおいて、この衛星の名称がPANであることを正式に確認し用途通信衛星であると説明しているが、所属機関や、さらに詳細な用途・目的公表しなかった。 打上げ前にミッション・パッチ公開されているが、これには"PANPalladium At Night"という意味不明ロゴと、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社とアトラスロケットロゴ、第45航空団 (45th Space Wing)を表す「45 SW」の文字、そしてフライトナンバー記載されているだけであったPANは、"Palladium At Night"の略号だとされているが、これは無意味なフレーズであり、衛星正式名称本当にPANなのか、疑念抱かせるものであった。これらは衛星正式名称(もしあるなら)を詮索させないように一般人与えられディスインフォメーションではないか考えられたが(「名前をつけてね」“pick a name.”の略ではないかというジョーク流布された)、結局これ以上情報与えられることはなかったため、PANの名称で落ち着くことになった衛星正式名称目的不明なまま、アマチュア観測者達はPAN行動追跡し、その静止軌道における尋常ではない行動観測して、さらに困惑深めていった。アマチュア観測者の間では、対テロ戦争における中東(特にイエメン)でのドローン用いたターゲッティッド・キリングの実施時期と、PAN活動活発になる時期符合する傾向があることが指摘されPANドローンコントロール専用通信衛星ではないかとの推測がかなり有力な説として注目されていた。これは衛星バス通信衛星用のA2100であるという公表情報とも符合するものであったPANシギント衛星ではないかという見方アマチュア観測者の間では有ったが、軍事行動足を引っ張る恐れがあったので、このアイデア少人数サークルの中でのみ共有され公表されることはなかった。 一方NEMESIS という名称のシギント衛星存在が、最初に一般に明らかにされたのは、エドワード・スノーデン2013年8月暴露した米国政府諜報プログラム2013会計年度予算米国議会への予算説明書 (National Intelligence Program - FY 2013 Congressional Budget Justification) の中であった。 この資料中の予算一覧表高高度シギント衛星の項(p167)では、「NEMESIS 2」という名称の衛星2011会計年度予算計上されていたが、この時点では NEMESIS 2アマチュア観測者達が把握しているUSA衛星のどれに該当するか、その任務は何なのか(発展オリオン(メンター)衛星とは何が異なるのか)、「NEMESIS 1」は存在するのか、など不明な点が多数あった。この段階では、アマチュア観測者達の間でも、PANNEMESIS結びつけるアイデア無かった少なくとも、2009年打上げられPAN予算2011年度予算計上されているはずは無いので、PANNEMESIS 2では有り得なかった。 後にネメシス2同定されることになる、アメリカ合衆国機密衛星USA-257は、PAN打上げから5年以上経過した2014年9月17日に、同じくケープカナベラル空軍基地から打上げられた。 この衛星が、CLIOという名称であること、およびPAN次のような類似点があることは、ロッキード・マーティン社のニュースリリースなどで打上げ前から明らかになっていた。 ロッキード・マーティン社により製造され衛星バスA2100である。 打上げロケットPAN同じくアトラス V 401 である。 静止軌道投入米国のどの政府機関に所属するのかは公表されない。NROL番号割り振られていない。 これらの類似点から、アマチュア観測者達はこの衛星PAN類似した任務と機能有する予測していた。 以上のような様々の疑問に対して2016年9月6日ザ・インターセプト掲載された、やはりエドワード・スノーデンリークし一連の秘密資料によって突然真相明らかにされ、PANネメシス1であり、CLIOネメシス2であることがこれらの資料により確認された。 特に、"NSA SIDToday: (S//SI//REL TO USA, FVYE) Two New Collection Assets to Greatly Expand MHS Target Coverage - January 2009" という題名資料は、NSA職員向けの内部ジャーナルであるが、新しくORION衛星(メンター)とNEMESIS衛星各々1基が、イギリス置かれ米英共同運用施設である英空軍メンウィズヒル局 (RAF Menwith Hill StationMHS) というスパイ衛星運用局の制御下に置かれることを紹介する内容である。 この中で、「現在のところ、2009年4月11日打上げ予定衛星はFORNSAT、つまり商用静止衛星へのアップリンク信号傍受する予定である。」と述べ衛星バスA2100用いた衛星のイメージイラストが添付されており、この衛星PAN該当すること、およびその正式名称NEMESISであることは間違いない考えられる(実際にPAN打上げ2009年9月8日であったが、複数打上げ延期されたことがロッキード・マーティン社のニュースリリースアナウンスされているので矛盾は無いと思われる)。 また、これらの資料から、実際にPANおよびCLIO通信衛星ではなかったが、ターゲッティッド・キリングの実施時期と、PANマニューバー時期符合する傾向があるという指摘は、全く的外れというわけではなかったことが明らかになった。ネメシス1および2は、ターゲットにされたテロ組織幹部等の動向通信記録などから追跡しターゲットが現在どの位置に居るかを特定し(GHOSTHUNTER作戦)、その情報ドローン操縦者提供する役割持っていた。 GHOSTHUNTER作戦においては前述英空軍メンウィズヒル局が、メンター4衛星ネメシス1衛星を含むスパイ衛星運用担当し収集された情報分析においても、中心的な役割果たしていたことも暴露されている。

※この「正体判明までの経緯」の解説は、「ネメシス (人工衛星)」の解説の一部です。
「正体判明までの経緯」を含む「ネメシス (人工衛星)」の記事については、「ネメシス (人工衛星)」の概要を参照ください。

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