構造と歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 04:54 UTC 版)
古くこれらの機器は、入力には操作部分に取り付けられたマイクロスイッチを使用し、タイマーやリレーを利用して、アナログコンピュータや機械的な演算装置によって動作していた。スイッチを操作すれば、所定の動作をするという単純な物で、タイミングはタイマー回路で制御され、ランプの点滅によって表示を行ったり、モーターや電磁石によって模型を動かしていた。この時代、ゲームコーナーといえば、これらエレメカが設置されている様式が一般的であった。 このアナログコンピュータやタイマー回路がICに、更にはLSIといった集積回路に取って代わった1960年代頃から、次第に高度化が始まり、次第に今日のアーケードゲームのように複雑な物が登場していった。特にスペースインベーダー発売前後では、光学機器や機械制御による非常に凝った物が作られ、『サブマリン』のように、潜望鏡から覗いた状態で照準を合わせ、魚雷発射ボタンを押すと、魚雷が焦点をずらしたレンズからの光によって表現された航跡を描き、模型の戦艦に当たると轟沈する(遥か沖合いの潜水艦に到っては、閃光が上がるという演出もあった)物も製作された。当時のアーケードゲームは非常に解像度が荒かった事も在り、エレメカの「リアルさ」は1980年代初頭まで優位を保っていた。 エレメカの動作はその多くでは、電磁石やモーターによる部分が多いため、磨耗や潤滑不足・断線などによる機械的トラブルも発生する。この構造上の問題は要所の強化によってある程度は防がれていたが、摩滅による損傷によって、古い機器は1980年代を通して次第に姿を消していった。 その一方で一定の需要が存在しているため、現在でもマイコン制御によるエレメカや、アーケードゲーム同様の高度なコンピュータを内蔵し、得点表示や操作説明をブラウン管で表示、操作部分や動作効果部分を従来のエレメカ同様か更に発展させた物が登場している。これらはセンサー技術の発達により、更に進歩する動きも見られる。 バンダイナムコエンターテインメントは2015年7月に、2010年まで発売された殆どのエレメカの保守サービスを終了することを発表した。このように、筐体によっては約30年以上も保守サービスを行っている筐体もある。 なお、こういった機器類は特に訓練された者だけが操作するわけではないので、フールプルーフ設計など安全性向上のための努力が払われる。例えば異常動作や不注意に触れた際にプレーヤーを機械が巻き込まないことが求められる。ただマーフィーの法則的な観点から見ると必ずしも絶対ということはありえないためなのか、2007年に製造された腕相撲ゲームでプレーヤーが事故により負傷するトラブルが複数発生したため全台回収されるという事例があったほか、同年には前述のセガ系列エレメカ専門のゲームコーナーで、安全柵で覆われた遊戯装置内部に子供2名が上がり込み、メンテナンスのためにカバーが外されてそのままになっていた部分に男児が触れ指切断という怪我をした事例も報じられている。
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