構造と仕組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 03:59 UTC 版)
「太陽電池」も参照 ソーラーパネルは太陽電池をパネル状にしたものである。パネル状の構造を保持する部分は、パネルの上層の場合も、下層の場合もある。上層にある場合を「表板構造」下層にある場合を「基板構造」という。 太陽電池は、光起電力効果を応用して、太陽光のエネルギーを電力へと変換する。よく使われるのはウェハーベースの結晶シリコンを使った太陽電池とテルル化カドミウムまたはシリコンを使った薄膜型の太陽電池である。結晶シリコンは半導体製造の原料でもある。 ソーラーパネルは、その内部で、複数の太陽電池を電気的に相互接続している。必要な電圧を得るため、直列に太陽電池を接続し、電流を確保するためにそれらをさらに並列に接続している。 ソーラーパネルの性能(太陽光を電力に変換する「効率」)を表す「太陽光変換効率」は、市販されているもので5%から18%。性能がほどほどに良いものなら、単結晶系は18%前後、多結晶系は16%前後となっている。(なおパネルの発電効率は、「太陽電池 1個」の発電効率より低い。太陽電池と太陽電池の間に「スキマ」があり、「スキマ」の部分は発電していないからである。) 一部のソーラーパネルは、レンズまたは鏡を使って太陽光をより小さな太陽電池に集める集光装置を採用したデザインのものもある。単位面積当たりの単価が高い太陽電池(ヒ化ガリウムを使ったものなど)を使って比較的安価なソーラーパネルを作ることができる。 配慮すべき点、注意が必要な点 一部または全部が影に入ったり、夜になると電流の逆流が起きることがある。それを防ぐため、別途ダイオードを使うこともある。単結晶シリコンの太陽電池のpn接合は光が当たっていないときに逆電流を生じさせる特性があるが、これは不要である。逆電流は単に電力を無駄に消費するだけでなく、太陽電池が熱を持つという問題もある。太陽電池は高温になるほど効率が低下するため、ソーラーパネルはなるべく熱を持たないのが望ましい。冷却を考慮した設計のソーラーパネルはほとんどないが、設置する際に背面から放熱できるようにするなどの工夫をすることが望ましい。 なお製造・輸送・設置・利用の各段階で壊れないように配慮しないといけない。特に、雹(ひょう)や雨、積雪の重みが問題となる。特にウェハーベースの太陽電池は脆いので注意が必要である。湿気が内部に入り込むと金属の配線や接続部分が腐食する危険性があり、薄膜型の太陽電池や透明導電性薄膜層も湿気に弱いため、注意しないと性能低下や寿命短縮に繋がる。 新しいアイディア ソーラーパネルの構成によっては様々な波長の光で発電できるが、一般に太陽光のあらゆる波長をカバーすることはできない(特に紫外線、赤外線、間接光など)。つまり太陽光エネルギーの大部分を捨てていることになる。ソーラーパネルは適切な単色光を照射したとき最も効率がよい。そこで、太陽光を複数の波長に分け、それぞれのビームをその波長が得意な太陽電池に当てるという仕組みのソーラーパネルが提案されている。また、赤外線を中心として発電できる太陽電池を使ったTPV(熱起電力)発電も提案されている。
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