朱漆七宝繋沈金花鳥漆絵御供飯
主名称: | 朱漆七宝繋沈金花鳥漆絵御供飯 |
指定番号: | 2567 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1996.06.27(平成8.06.27) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 工芸品 |
ト書: | |
員数: | 1具 |
時代区分: | 桃山 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 円形、逆印籠蓋造り。内に托子付大椀一箇、蓋・托子付大椀一〇箇が納まっている。素地は木製挽物造りで、総体に布を着せ、底裏・畳付を黒漆塗りとするほかは内外とも朱漆塗りとしている。蓋・身の表面には七宝繋文を地文として、花・鳥・蝶文のほか、蓋・身側面には折枝文、高脚部には太湖石の陰から幹を伸ばす花卉文を表している。技法は地文・文様の輪郭線をすべて沈金とし、文様を各種の彩漆や白密陀絵【しらみつだえ】で表し、太湖石・鳥の尾・蝶には緑青粉を用いている。身の見込みには、沈金で巴紋を表している。大椀・托子、小椀・蓋・托子にも本体とほぼ同様の技法・文様装飾が施されている。 琉球漆器の創始は明らかでないが、少なくとも十五世紀には黒漆・螺鈿【らでん】などの漆工技術が行われて、明国に進貢されていたようである。以後近世に大いに発展をみた沈金・螺鈿・箔絵【はくえ】・漆絵・密陀絵などの技法は、十六から十七世紀初頭には独自の漆工芸として確立し現在にいたっている。 本件は前述の技法のうち、朱漆地に沈金・漆絵・密陀絵・箔絵を併用して装飾された琉球独特の技法を示す御供飯と称される食籠【じきろう】である。これらの漆工技法はいずれも中国明代漆工技法に範を求めながらも、その技術・各技法の取り合わせには独自の表現手法がとられている。その製作時期は明確ではないものの、口縁に施された回文帯や、見込みに表された足が細く長い巴紋(琉球王尚家の紋)などは古様を示しており、かつ尾張徳川家初代藩主である義直が家康より相続した遺品の目録、尾張家本「駿府御分物帳」に記載があるところから、少なくとも家康が没した元和二年(一六一六)が製作年代の下限となる。巧緻鮮麗な沈金・箔絵・漆絵・密陀絵の技法を併用した類品中の傑出した大型作例であり、かつその作期がほぼ特定できる初期琉球漆工芸の代表的遺例として重要である。 |
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