朱漆足付盥
主名称: | 朱漆足付盥 |
指定番号: | 2539 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1991.06.21(平成3.06.21) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 工芸品 |
ト書: | 六蔵寺二対内、細工根来寺重宗、本願法印恵範の朱漆銘がある |
員数: | 4口 |
時代区分: | 室町 |
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解説文: | 朱漆塗りを主とするところから、俗に根来塗【ねごろぬ】りとも総称される四口の足付盥である。盥部分は一部に補足はあるが、欅一材の刳抜き製で、外側面は欅の木目を活かした木地呂塗りとし、上下に麻紐を廻らし黒漆を塗った紐箍を締め、上下周縁部および内面を朱漆上げとしている。 また足には各々鰭状持送りを付け、朱漆塗りとする。口縁・底裏は黒漆塗りで、底裏には四口とも同文同筆の朱漆銘がある。 (銘文) 細工根来寺重宗 六蔵寺二對内 夲願法印恵範 銘文中の六蔵寺とは中世における六地蔵寺の別称である。本願主恵範(一四六一-一五三八)とは、当寺三世で、六地蔵寺に永正二年(一五〇五)頃から天文七年(一五三八)頃まで住持した学僧で、当寺の中興であった。 また「細工根来寺重宗」とは、この盥が紀州根来寺の重宗(工房主カ)によって作られたことを明示している。中世の根来寺は天正十三年(一五八五)豊臣秀吉に滅ぼされるまで、壮大な規模を誇る大寺院として繁栄し、自給自足的な体制の下で、一山の漆器を主とする什器なども製作していたとされる。それらは朱漆器を主としていたとの伝えから、朱漆塗りの漆器を俗に根来塗りとも称するようになったが、その根来寺における実態は詳らかでない。 そのなかにあって、本件はそれを裏付ける唯一の遺例として喧伝されている。 剛健な形姿や堅牢な塗肌といった機能美とともに、恵範の名からほぼその作期が明らかであり、かつ根来寺産が確実で、その実態を示す稀少な遺例として、中世漆工芸史上極めて貴重である。 |
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