最終話「さようならドラえもんの巻」について
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「ドラえもん (1973年のテレビアニメ)」の記事における「最終話「さようならドラえもんの巻」について」の解説
ストーリー のび太が家に帰るとドラえもんとセワシが何か話している。セワシは何かを話そうとするが、ドラえもんに「僕が話すから」と止められ、「きっとだよ」と言い残し未来に帰って行った。ドラえもんは浮かない顔で何かを話そうとするが、そこへデパートから最新型の自転車が届く。のび太はしずか達とサイクリングに行く約束をしたものの、自転車に乗れないので安直にドラえもんを頼ろうとしていたのだ。 しかし、ドラえもんはいつもの調子で甘えるのび太を冷たく突き放す。いつもと様子が違うドラえもんだったが、のび太は「いざとなったらいつものようにきっと何とかしてくれる」と気にも留めなかった。思い切って何かを打ち明けようと決心したドラえもん。しかし、のび太に差し出されたおやつのどら焼きに心を奪われ、更に「この世に君がいなかったら僕は一人で生きていけない」という彼の言葉に動揺し、そのまま家を飛び出してしまった。 ドラえもんは、頼りっきりなのび太の自立心を養うために未来へ帰ろうと考えていたが、優しくしてくれるのび太にそれを言い出せず悩んでいたのだった。落ち込んでいた所へ偶然会ったガチャ子に相談する事にしたドラえもん。そして、ガチャ子のアイディアで未来に帰る嘘の口実を作る事になった。 「ドラえもんの体の様子がおかしい」とガチャ子から聞かされたのび太。慌てて駆け付けると、そこには狂ったように苦しみ始めたドラえもんがいた。「未来に連れて帰って治さないといけない」と言われ、嘘を信じ込んでいたのび太は泣き出してしまう。それでも、「ドラえもんがいなくなったら困るけど、ドラえもんが治る為なら我慢する。だから自分に構わず帰って欲しい」とドラえもんに訴えた。 優しい言葉に感涙したドラえもんは嘘をついた事を打ち明け、自分に頼り過ぎてダメな人間になりそうなのび太が心配で、強い人間になって欲しいが為に未来の国に帰る事にしたと本心を告げる。のび太は「僕の事は心配しなくていいよ」と彼の気持ちを受け入れた様子で愛想笑いを浮かべた。 その後、仲間らは広場に集い送別会を開く。ジャイアンやスネ夫、しずかも涙ながらにドラえもんとの別れを惜しみ、のび太と共にどら焼きをプレゼントする。喜ぶドラえもんの丸い手から黄色い小鳥が飛び立っていく。テーマソング『ドラえもん』に合わせて仲間らに家まで送って貰ったドラえもんは、のび助や玉子とも別れの挨拶を交わした。 そしてドラえもんとのび太は、いつかの再会を誓い、最後の別れを告げる。「未来の国でいつも君を応援しているからね」そう言い残したドラえもんは机の引き出しに入り、未来へ帰って行った。ドラえもんがいなくなった現実に、のび太は「本当は、ずっと居てもらいたかったのに…」と号泣してしまう。するとドラえもんが、再度引き出しから現れた。のび太は唖然とするが、プレゼントのどら焼きを持ち帰るのを忘れていたという。改めて別れの挨拶を交わした二人。去り際にのび太にエールを送ったドラえもんは、今度こそ帰って来る事はなかった。 「もうドラえもんの力に頼らない」───何度転んでも起き上がり、自転車に乗れるようにひたむきに頑張り続ける。そんなのび太の姿を、ドラえもんはセワシと一緒にタイムテレビで未来から温かく見守っていた。「ドラえもーん! 見てくれよー!」夕焼け空に向かってそう叫ぶのび太の声と共に、物語は幕を閉じる。 解説 本エピソードの原作は、てんとう虫コミックス第6巻収録の「さようなら、ドラえもん」ではなく、雑誌『小学四年生』1972年3月号に掲載された「ドラえもんがいなくなっちゃう!?」(藤子・F・不二雄大全集第1巻収録)である。これは真佐美が提案したもので、真佐美が幼いころ、板金塗装会社に勤めていた父親を浦和駅まで迎えに行くために、自転車を練習した思い出と重なったからだという。 ストーリーは原作とおおむね同じだが、原作には未登場だったジャイアン・スネ夫・しずか・パパ・ママ・ガチャ子が登場し、ドラえもんとの別れを惜しんでいたほか、ドラえもんの嘘に協力するのはセワシではなくガチャ子になっている。 この回が最後の放送だったにもかかわらず、ラストのアイキャッチは「次回をお楽しみに」と表記された。これは手抜きやミスではなく日本テレビ動画の再建と続編への希望を込めたものである。 またエンドカードにはドラえもんの丸い手から黄色い小鳥が飛び立っていく作中のシーンが採用された。これにも続編製作の希望として「再会」の意味が込められているという。ヒントに真佐美が昔見た映画で「無事に帰って来て」という願いが黄色いリボンで描写されていたことに由来する。 放送終了から5年半後、アニメ第2作1期の第1話を見た真佐美は「大変素晴らしい出来で、とても安心しました。大山のぶ代さんの声も、あれなら大成功だなと思いました」という感想を述べている。日本テレビ動画のスタッフ達の願いであった「自分達の手で再び作ること」は遂に叶わなかったが『ドラえもん』に対する思いは、このような形でシンエイ動画へと引き継がれたのである。
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