春別発電所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 13:55 UTC 版)
ダムに付設する春別発電所は出力2万7,000キロワットのダム水路式発電所である。完成以後無人による運転が行われ、静内川水系に建設された他の発電所群と共に遠隔操作による統合管理が行われている。 春別ダムと春別発電所は沙流川水系・新冠川水系と静内川水系を結ぶ中間地点に建設され、両水系を連携させる大動脈的な役割を持つ本計画でも重要な施設である。導水の流れとしては、まず沙流川水系のパンケヌシ川や額平(ぬかびら)川など四河川で集められた水が奥新冠ダム(新冠川)で取水された水と合わさり、トンネルを通して奥新冠発電所に導水される。発電所で発電された後新冠川に放流され、新冠発電所と下新冠発電所で発電された後、岩清水ダム(新冠川)の人造湖である岩清水調整池において取水され、再度トンネルで春別ダムの人造湖である春別調整池に送られる。 ダムからは複数のルートで静内川に導水される。一つは下流の春別発電所に全長8,413メートルのトンネルで送水、発電された後四箇所目のトンネルで静内ダムに送られ、静内発電所において発電される。もう一つは春別調整池の取水口から全長8,439メートルのトンネルを通じて高見ダムの人造湖である高見湖に導水され、高見発電所において発電される。春別ダムは複数の水力発電所で使用された水を一箇所に集約し、複数の水力発電所へ導水して一滴でも多くの河水を有効利用させ、かつ2万7,000キロワットの電力を生み出す役割を有している。 春別ダムを皮切りに静内川水系の水力発電開発は進められ、1966年(昭和41年)静内ダム・静内発電所が、1979年(昭和54年)には双川ダム・双川発電所と静内発電所増設が、1983年(昭和58年)には高見ダム・高見発電所が完成。1987年(昭和62年)に東の沢ダム・東の沢発電所が完成するにおよんで終了した。春別川では春別ダム・発電所建設と同時期、最上流部に奥春別ダム・奥春別発電所計画が進められていた。これは高さ45メートル、総貯水容量が約152万立方メートルの貯水池を設けて出力1万7,000キロワットの発電を行うという計画であった。だが、計画予定地は断崖絶壁で道路建設の目処も立てられず、崩落も激しいため着手は後回しとなり、その後の電力需要の変化などもあって事実上立ち消えとなった。また、春別調整池は上流からの土砂崩落によって堆砂(たいさ)の進行が激しく、堆砂率89.2パーセントと日本で5番目に堆砂が多いダムとなっている。
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