日本神話・国家神道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 03:16 UTC 版)
詳細は「天皇#一神教・国家神道」を参照 大日本帝国が存在した時代では、日本の「皇帝(the emperor)」が「唯一神として(as God)」見なされたり、「人間形態として啓示された唯一神(God revealed in human form)」と主張されたりすることもあった。(一神教では、唯一神は「皇帝(Empepror)」・「唯一の皇帝(sole emperor)」とも説かれる。)例えば、東京帝国大学の比較宗教学者だった加藤玄智は、天皇は「日本人にとって、ユダヤ人が唯一神と呼んだ一つの地位を専有している(occupying for the Japanese the place of the one whom the Jews called God)」と論じていた。 『日本大百科全書』によると、明治維新・王政復古によって祭政一致が政治理念の基本とされ、天皇は国の「元首」かつ神聖不可侵な「現人神」とされた。ここには、人と神の間に断絶の無い日本古来の神観念とは全く異なる、「一神教の神観念」が取り入れられていた。天皇は「絶対的真理」と「普遍的道徳」を体現する至高存在とされ、あらゆる価値は天皇に一元化された。東アジア学者の石川サトミによれば、日本人にとっての天皇は「彼らの唯一神、すなわち天皇(their God, i.e. the Tenno)」とも表現される。 唯一神と天皇を同じ唯一者として信じるように、イスラームへ命令が下されることもあった。例えば大日本帝国は、ジャワ島のムスリムたちへ「メッカよりも東京に礼拝し、日本皇帝を唯一神として礼賛せよ、という日本軍の命令(the Japanese military orders to bow towards Tokyo rather than Mecca and to glorify the Japanese Emperor as God)」を伝えていた。 現代推論されるところでは加藤玄智は、西洋の絶対神が合理主義で批判されないことを見て、天皇を絶対神と同様に説明した言論を広め、批判を封じようとした。しかし、西洋人からすればモンゴル人種または「黄色い猿」である天皇が、日本人によって絶対神と同一視されていることが、西洋で驚かれ嫌悪された。 天皇総帝論・八紘一宇 戦時中には、「天皇総帝論」がもてはやされるようになった。「天皇総帝論」とは当時、「天皇信仰の主唱者」「世紀の予言者」と呼ばれていた幕末の国学者・大国隆正が唱えた議論である。これは要するに、天皇は世界の皇帝たちよりも上の地位にあり、歴史の「必然」として世界の「総帝」であるという主張だった。第二次世界大戦に至る中で、「八紘一宇」は「天皇総帝論」であり、それはまた 「唯一の思想的原動力」 「天皇中心の世界一体観」 「大宇宙をも包含するが如き深遠宏大なる日本肇国理念」 「真日本の発見」 「純なる日本的世界観」 「古事記の発見」 「天皇政治の世界性」 「大和民族の宿志」 「大和民族本来の世界史的使命] 「神武天皇が抱懐せられたる世界史的御雄図」 「惟神(かんながら)的世界観」 等であると認識されていった。このようにして、大国隆正のような国学者たちが足がかりにされ、「八紘一宇」が日本建国の理念へと結合されて、「伝統の発明」が完成した。
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