日向椎葉湖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 14:26 UTC 版)
ダムによってできた人造湖は「日向椎葉湖」と命名された。2005年には椎葉村の推薦によって財団法人ダム水源地環境整備センターが選定する「ダム湖百選」にも選ばれているこの湖の名付け親は、『三国志』・『私本太平記』等歴史文学で多くのファンを持つ小説家・吉川英治である。椎葉村は古くから平家落人伝説のある村であり、特に「鶴富姫伝説」は名高い。これは鎌倉幕府の命を受け当地に落人狩りに来た那須大八郎が、平家の末裔である鶴富姫と恋に落ちるというものであり、幸せな生活をすごしていたが大八郎は幕府の命を受け鎌倉へ戻ることになり、別れ別れになるという悲恋伝説である。吉川英治は『新・平家物語』を執筆した縁で椎葉村を訪れ、その際に命名したと石碑には記されている。ダム左岸の女神像公園には吉川英治が揮毫した『日向椎葉湖の石碑』がある。日向椎葉湖は九州中央山地国定公園にも指定されている。 ダム湖はニジマス・ヘラブナ・コイが釣れる釣りスポットでもあるが、特にヤマメについてはかなりの大物も釣れるという。湖岸は春の新緑、秋の紅葉が特に美しい。また、毎年7月下旬には椎葉夏祭りが開かれ、ダム堤上より打ち上げられる2,000発の花火が湖に彩りを添える。ダム近傍には「鶴富姫伝説」とかかわりの深い「鶴富屋敷」(那須家住宅・国の重要文化財)があり、ダムと併せて多くの観光客が訪れる。高千穂峡や阿蘇山、祖母山などに近いこともありこれらの観光地と組み合わせて観光客はダムを訪れている。 ダムへは高千穂町方面より国道265号、日向市方面より国道327号を利用することになるが、両国道とも隘路であり、災害後は通行止めになることが多いので運転には要注意である。ただし国道327号については岩屋戸ダムから塚原ダム間を除いて整備が完了している。また高千穂方面からは日之影町と諸塚村を結ぶ林道、通称諸塚山スカイラインの方が整備されているので、初心者などはそちらを利用するほうが安全である。ただし岩屋戸ダムと塚原ダムの間は未整備状態のままであり、離合の難しいカーブの多い断崖絶壁路が10キロメートルほど続くので、運転には細心の注意を要する。公共交通機関のばあいは宮崎交通バスで日向市の日向バスセンターから椎葉村行きのバスが運行されており、所要時間はおよそ2時間30分である。
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