新現先取引(2001年4月~)
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「レポ取引 (国内短期金融市場)」の記事における「新現先取引(2001年4月~)」の解説
現先取引と現金担保つき債券貸借取引は、外国為替等審議会が指摘したとおり、それぞれ次の問題を抱えていた。 取引問題点短期国債の現先取引 取引期間中のリスク管理の仕組みや取引相手がデフォルト(債務不履行)を起こした場合の取扱いに関する規定が未整備である。 利付国債の現金担保つき債券貸借取引 …売買形式をとる欧米のレポ取引とは異なっている。…非居住者が稼得する現金担保への利息に対し、源泉徴収課税が行われる可能性があることなどから、非居住者の参入が殆どみられていない。 当時、「有価証券の売買」には有価証券取引税が課されたため、グローバル・スタンダードに沿ったレポ取引市場(債券の条件つき売買を行うもの)を創設することができなかった。しかし、その有価証券取引税は1999年3月に廃止された。そこで実務経験者からなる「債券貸借取引等研究会」(1998年7月設立。現・債券現先取引等研究会。レポ研)の提言を受け、証券業協会(現先売買取引等の整備・拡充に関するワーキング)による検討が続けられ、欧米で主に使用されているレポの基本契約書(GMRA; Global Master Repurchase Agreement)をベースに「債券等の現先取引に関する基本契約書」が策定され、最終的に2000年10月に自主規制ルール「債券等の条件付売買取引の取扱いについて」が全面改正された。 こうして、次の特徴を備えた「新現先取引」が、2001年4月にスタートした。新現先取引は、ミクロ的には「リスク管理手法が盛り込まれた新しい現先取引」という性質を帯びる一方、マクロ的には「業態規制の撤廃や税制改革によって…売買形式による資金取引として明確に規定することが可能になった」という意義を持っていた。 日銀は2002年9月、「国債の条件付売買基本要領」を策定し、同年11月以降、それまでの短期国債現先オペと国債借入オペを「新現先オペ」に一本化した。 特徴内容リスク・コントロール条項 売買金額算出比率(ヘアカット)の適用 対象債券の価額と基準担保金額の間にバッファーを設ける(市場リスクや信用リスクの低減) 担保の管理等(マージン・コールの導入) 差し入れられている債券の価額が下落した場合、担保金の不足額をいつでも相手方に請求できる。 再評価取引(リプライシング)の適用 取引をいったん終了し、同種同量の対象債券について、その時点の時価に基づく同レートの別の取引を行う。 取引対象債券等の差換え(サブスティテューションの適用) 取引の途中で、差し入れている債券を、同等以上の価額の代替債券に変更する。 一括清算条項 当事者のいずれかが債務不履行になった場合、基本契約に基づく債権債務を1つの金銭債権債務に置き換える。 ただ、現先取引であれ、現金担保つき債券貸借取引であれ、資金と担保の同時受渡や、担保の時価評価・値洗いが必要で、事務負担やシステム対応に大きな投資が必要となる。それゆえ、新現先取引のスタート後も、レポ取引の中心は現金担保つき債券貸借取引のままで、新現先取引が現金担保つき債券貸借取引に取って代わるのは、2018年5月の決済期間短縮化(アウトライト取引のT+1決済化)の後のこととなった。
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