レポ取引
レポ取引
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レポ取引(Repurchase agreement)は、債券貸借取引、または債券現先取引とも呼ばれ、主に政府証券での短期借入[※ 1]の一形態を指す。ディーラーは基礎となる証券を投資家に貸出(販売)し、その後すぐに、通常は翌日、わずかな金利を払い、債券を取り戻す(わずかに高い価格で買い戻す)。
レポ市場は、従来の銀行部門に匹敵する規模に成長したノンバンクの大手金融機関にとって重要な資金源となっている。マネー・リザーブ・ファンド(米国ではマネー・マーケット・ファンド)などの大規模な機関投資家は、証券会社などの金融機関にその借り手金融機関が保有する国債や不動産担保証券などの担保と引き換えに(または担保で保証させて)資金を貸し出す。日本のレポ市場の規模は、おおよそ年間で100兆円程度であり[1]、米国のレポ市場では、1日に担保の時価で1兆ドルが取引されている[2][3]。
2007年から2008年にかけ、投資銀行の資金調達が全くできないか、できても高い金利を支払わざるを得なかったレポ市場における取り付け騒ぎは、グレート・リセッションをもたらしたサブプライム住宅ローン危機の重要な一側面であった[4]。2019年9月、米国連邦準備制度は、借りられる資金源がいくつかのテクニカルな要因により制限されてしまい、翌日物貸出金利が上昇した際に、レポ市場に資金を提供するという投資家の役割に介入を行った[2][5][3]。
構造とその他の用語

レポ取引において、投資家/資金の貸し手は、借り手に債券等の担保を付けさせ、資金を貸し付ける。万一借り手が債務不履行に陥れば、投資家/貸し手は担保を押さえる。投資家はマネーマーケットファンドなどの金融機関であるのが普通であり、借り手は証券会社、投資銀行やヘッジファンドなどの非預金取扱金融機関である。投資家/貸し手は、「レポ金利」と呼ばれる金利を付けてX円を貸し出し、金利分多い金額Y円の返済を受ける。さらに、投資家/貸し手は、貸し付けた金額よりも価値の高い担保を要求することもあるが、その差分を「ヘアカット」という。これらの概念を右図や数式化の節で示している。投資家はリスクが高まったとみると、レポ金利を引き上げ、ヘアカットの要求率も引き上げる。第三者が関与して取引の円滑化に徹するケースもあり、この場合を「トライパーティレポ」という[4]。
具体的には、レポでは、証券を買う側のBが現金の貸し手となり、売る側のAは当該証券を担保として現金の借り手となる。リバースレポでは証券の買い手( A )は資金の貸し手で、同じく売り手の( B )は借り手である。レポは、担保付きローンと同様の経済効果を持ち、買い手(実質的には貸し手または投資家)は、売り手の債務不履行から身を守るために担保の証券を受け取っている。最初に証券を売る側が実質的に借り手である。ミューチュアル・ファンドやヘッジファンドなど様々な機関投資家がレポ取引を行っている[6]。ほとんどどのような証券もレポで使用できるが、通常の場合の処分が容易であるし、また何より、買い手がリバースレポや市場売買によりレポ証券のショートポジションを作成した場合も公開市場で容易に入手ができるため、流動性の高い証券が好まれる。また、同様の理由で、流動性のない証券は忌避される。
国庫短期証券や国債、社債、株式などは、すべて、レポ取引の「担保」として使用できる。ただし、担保付きローンとは異なり、証券の法的所有権は売り手から買い手に移る。レポの買い手が証券を保有している際に支払期限が到来したクーポン(証券の所有者に支払われるべき利息)は、実際の取引では、レポの売り手にそのまま支払われるのが普通である。レポ契約中は担保の法的所有権が買い手にあるため、これは直感に反するように見える。レポ契約では、代わりに買い手がクーポンを受け取り、これを補うため買戻し時に支払われる現金を調整される場合もあるが、この方がセル・アンド・バイバックの典型例に近い。
レポ取引はローンに似ており、経済効果もローンに類似するが、レポの用語はローンに関する用語とは異なる。売り手はローン期間の終了時に法的に買い手から証券を買い戻す。しかし、レポの中でも重要な点は、税務上は売却と買戻しと取り扱われないが、(カウンターパーティーのデフォルト時に重要となるが)法的には個々の取引として取り扱われることである。
リバースレポは、AとBのの立場を入れ替えたものである。
下表がレポの用語を要約したものである。
レポ | リバースレポ | |
---|---|---|
参加者 | 借り手 売り手 資金調達側 |
貸し手 買い手 資金運用側 |
スタートのレグ | 証券の売却 | 証券の購入 |
エンドのレグ | 証券の購入 | 証券の売却 |
歴史
米国では、戦時税により旧来の融資が難しくなったため、1917年からレポが使用されてきた。当初、レポは連邦準備制度だけが他の銀行に貸し出すために使用していたが、すぐに他の市場参加者に広まった。レポの利用は1920年代に拡大し、世界恐慌と第二次世界大戦を経て縮小したが、1950年代に再び拡大し、1970年代と1980年代にコンピューター技術の影響もあって急速な成長を遂げた[7]。
イェール大学の経済学者 ゲーリー・ゴートンによれば、レポは、担保を投資家に対する保証として機能させるような、政府が提供する預金保険に類似した担保付き融資の手法を規模の大きい非預金取扱金融機関に提供するために進化したという[4]。
1982年に、ドライスデール・ガバメント証券の破綻により、チェース・マンハッタン銀行には2億8,500万ドルの損失が発生した。この件が契機となり、レポ証券の時価の計算を行う際の経過利息の利用方法が変更された。同年、ロンバード・ウォール証券の破綻により、レポに関する連邦破産法が変更された[8][9]。1985年のESMガバメント証券の破綻が、オハイオ州のHome State Savings Bankの倒産に繋がり、民間保険のOhio Deposit Guarantee Fundが保険をかけていた他の銀行に取り付けが起こった。上記を代表とする企業の破綻をきっかけにして、1986年政府証券ディーラー等規制法が制定された[10]。
2007年から2008年にかけ、投資銀行の資金調達が全くできないか、できても高い金利を支払わざるを得なかったレポ市場における取り付け騒ぎは、グレート・リセッションをもたらしたサブプライム住宅ローン危機の重要な一側面であった[4]。
2011年7月、銀行や金融報道機関の間で、2011年の米国の債務上限危機がデフォルトを引き起こした場合、レポ市場で相当の混乱が生じるのではないかという懸念が生まれた。米国債が米国のレポ市場で最も一般的に使用される担保であり、デフォルトが起これば米国債の価値を毀損する恐れがあった為、そうなればレポの借り手が差入れなければならない担保が大幅に増加するためである[11]。
2019年9月、米国連邦準備制度は、借りられる資金源がいくつかのテクニカルな要因により制限されてしまい、翌日物貸出金利が上昇した際に、レポ市場に資金を提供するという投資家の役割に介入を行った[2]。
市場規模

ニューヨーク・タイムズは、2019年9月に、担保の時価で1日あたり推定1兆ドルが米国のレポ市場で取引されていると報じた[2]。ニューヨーク連邦準備銀行は、各種レポ取引の日次レポ担保取引額を報告している。2019年10月24日時点で、取引高は次のとおり。担保付翌日物調達金利(SOFR)は1兆860億米ドル。ブロードGCレート(BGCR)は4,530億米ドル、およびトライパーティGCレート(TGCR)4,250億米ドル[3]。ただし、後ろの二つは前者のSOFRの構成要素にすぎないため、これらの数値は加算できない[12]。
連邦準備制度と欧州レポ・担保協議会( 国際資本市場協会の一機関 )は、それぞれのレポ市場の規模の推定を試みた。2004年末には、米国のレポ市場は5兆米ドルに達した。特に米国において、また欧州でも程度は軽いものの、世界金融危機のため、2008年にレポ市場が縮小した。しかし、2010年半ばまでに市場は概ね回復し、少なくともヨーロッパでは危機以前のピークを越える成長を遂げた[13]。
レポの数式による表現
買戻し契約は、取引日 古典的なレポは全般として信用リスクの小さい商品であるが、なお残存する信用リスクがある。本質的に担保付き取引であるが、その満期日に、売り手が売却された証券を買い戻すことができない恐れがある。言い換えれば、レポの売り手が債務不履行に陥ったケースである。したがって、買い手は手元に証券が残り、貸し付けた現金を回収するために当該証券を現金化する。ただし、証券は市場の動きの影響を受けるため、レポ取引の開始以降、証券の価値が失われている可能性がある。このリスクの軽減のため、レポはヘアカット付きで担保を積み増したり、マージンの値洗いをするケースが多い(つまり、担保の価値が低下した場合にマージン・コールがかかり、借り手に追加の担保を差し入れるよう求める)。また逆に、証券の価値が上昇した場合に、貸し手が証券を売り戻せないかもしれないという点で借り手に信用リスクが存在する。これがリスクとなる場合、借り手は担保不足となっているレポ取引についてマージン・コールを行う[7]。
レポに関連する信用リスクは、レポの期間、証券の流動性、関与する取引相手の信用力など、多くの要因の影響を受ける。
2005年にRefcoが崩壊した際の決済の専門性により、特定の形態のレポ取引が金融報道関係者内の注目を浴びた。時折、レポ取引に関与する当事者が、レポ契約の終了時に特定の債券を保有していない場合がある。同一の原資産について様々な主体が取引に関与している限り、これにより、ある当事者から次の当事者への証券の引き渡しができないフェイルの連鎖が引き起こされる可能性がある。メディアの関心の的は、フェイルリスクを緩和する試みにあった。
2008年、リーマン破綻に伴い、レポ105という形式に注目が集まった。レポ105がリーマンの財務健全性の悪化を隠すための会計上のトリックとして使用されたといわれていたためである。もう一つ物議をかもしたレポ取引の形式は、当初2005年に衆目を集めた「内部レポ」である。2011年には、欧州ソブリン債のリスクの高い取引の資金調達に使用されるレポが、2011年10月に破産する前にMFグローバルが数億ドルの顧客資金をリスクにさらしたメカニズムであった可能性が示唆された。レポの担保の多くは、顧客が保有する他の担保の再担保を行うことで入手したとみられる[20][21]。
関連項目
脚注
出典
注釈
外部リンク
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