新・民主党とは? わかりやすく解説

新民主党

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/30 15:47 UTC 版)

カナダ政党
新民主党
New Democratic Party
Nouveau Parti démocratique
党首 ジャグミート・シン
成立年月日 1961年6月17日
本部所在地 オンタリオ州オタワ
庶民院議席数
7 / 343   (2%)
(2025年4月28日)
元老院議席数
0 / 105   (0%)
(2019年10月21日)
党員・党友数
124,620[1]
(2017年10月)
政治的思想 社会民主主義[2][3][4][5]
民主社会主義[5]
政治的立場 中道左派[6][7] - 左派[8][9]
公式カラー オレンジ
国際組織 社会主義インターナショナル(2018年脱退)
進歩同盟
公式サイト NDP
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新民主党(しんみんしゅとう、英語: New Democratic Party、略称:NDPフランス語: Nouveau Parti démocratique)は、カナダ中道左派社会民主主義政党社会主義インターナショナル加盟政党である。創設は1961年。現在の党首はジャグミート・シン英語版連邦規模と規模の両方で活動し、カナダ議会下院では野党第三党となっている。

歴史

1958年に労組系と左翼政党が共闘し新しい社会民主主義政党を立ち上げるべく、協同連邦党(Cooperative Commonwealth Federation、略称:CCF)とカナダ労働者会議(Canadian Labour Congress、CLC)が全国新党結成委員会(National Committee for the New Party)を結成。3年間の間の政策議論を行ない新党結成に同意した数名も追加し、1961年5日間に及ぶ結党大会の後、長年CCF党首を務めたトミー・ダグラスを党首に選出し新民主党が成立した。

カナダは保守主義のカナダ進歩保守党(現・カナダ保守党)と、リベラリズムカナダ自由党二大政党による政権交代が続き、新民主党は結党以来野党第二党であった。しかし、1972年の総選挙で当時のピエール・トルドー政権与党である自由党が過半数を割り込む結果となった際、閣外協力(1974年総選挙で自由党が過半数を得たことで解消)を行うなど、一定の影響力を有してきた。

1980年以降、3回(1980年・1984年・1988年)行われた総選挙で続けて30議席以上を獲得した。しかし1993年総選挙では、ブリティッシュ・コロンビア州とオンタリオ州におけるNDP政権への失望と党支持層の少なくない部分が自由党に投票したため獲得議席は9議席に留まり、過去最低の結果となり、公式政党(official party status[注釈 1])としての地位を喪失した。党支持層の相当数が自由党に投票した背景には、前回88年の総選挙における進歩保守党に対する批判票が新民主党と自由党に分かれた結果、進歩保守党が勝利した苦い記憶に対する反省が指摘されている。

1997年総選挙では21議席を獲得しやや党勢を回復させたが、2000年総選挙では右派政党であるカナダ同盟の政権獲得阻止を目的に党支持層が自由党への戦略投票を行った結果、前回を下回る13議席に留まった。そして2004年総選挙でも前回と同様に支持者による自由党への戦略投票が行われた結果、19議席と当初の予想を大きく下回る結果となった。しかし、この選挙で自由党は過半数を獲得できなかった結果、新民主党は自由党への閣外協力の見返りに健康保険民営化反対や京都議定書遵守など党の政策を反映できるようになった。

2005年11月、保守党が提出した内閣不信任案が可決されたことで行われた総選挙において29議席を獲得し、80年代の水準にまで回復させることに成功した。続く2008年総選挙では37議席を獲得した。そして2011年5月2日総選挙ではケベック州を中心に強い支持を集めて102議席を獲得と大躍進、結党以来初めて野党第一党となり、自由党に代わって議会第二党となった。

2015年10月19日総選挙では、解散前の6月には新民主党が保守党の支持率を上回っていた[10]が、10月になると新民主党がイスラム教徒の女性が顔を隠すスカーフを着用することを支持したことから宗教を誇示することを嫌う住民が多いとされるケベック州での支持が後退し[11]、代わって自由党が支持を伸ばしたため、大幅に議席を減らし、野党第二党・議会第三党に転落した。2016年4月10日に、トーマス・マルケア英語版党首が惨敗の責任を取り辞任すると表明した[12]

現在アルバータ州の新民主党が、地方政府を形成している。以前はブリティッシュ・コロンビア州サスカチュワン州マニトバ州オンタリオ州ノバスコシア州ユーコン準州の各州のNDPが、地方政府を治めていた。

ケベック州議会選には現在参加していない。

政策

新民主党の前身となった政党の一つ、協同連邦党(Cooperative Commonwealth Federation、略称:CCF)はポピュリズム土地均分論的、社会主義的な思想に起源を持つが、その後現代的な社会民主主義政党へと発展した。CCFはキリスト教左派社会的福音運動とも関係があった[13]ものの、現在のNDPは世俗的かつ多元的であり、ニューレフトの思想を取り入れている。LGBTの権利擁護国際平和環境保護といった課題にも積極的である[14]混合経済の推進や福祉制度の拡充を支持しており[15]、党内には民主社会主義を掲げる左派[16][9]も存在している[17]。国際的には、社会民主主義および進歩主義政党の国際組織進歩同盟(Progressive Alliance)に加盟している[18]

歴代党首

総選挙における党勢推移

選挙 獲得議席/定数
1962年
19 / 265
1963年
17 / 265
1965年
21 / 265
1968年
22 / 264
1972年
31 / 264
1974年
16 / 264
1979年
26 / 282
1980年
32 / 282
1984年
30 / 282
1988年
43 / 295
1993年
9 / 295
1997年
21 / 301
2000年
13 / 301
2004年
19 / 308
2006年
29 / 308
2008年
37 / 308
2011年
103 / 308
2015年
44 / 338
2019年
24 / 338
2021年
25 / 338
出典:表6「1945年から2008年のまでの総選挙結果」岩崎正洋編著『政党システムの理論と実際』(おうふう)222頁。Elecions Canada

脚注

注釈

  1. ^ 公式政党の地位は庶民院で12議席以上を有している政党に与えられるもので、公式政党となると与党への質問の権利や調査スタッフに対する助成金などが支給される。

出典

  1. ^ Éric Grenier (2017年8月29日). “NDP triples its membership to 124,000 in run-up to party's leadership vote”. Cbc.ca. 2021年1月4日閲覧。
  2. ^ William Cross (2012年9月). “The Canadian New Democratic Party: A New Big Player in Canadian Politics?”. Friedrich Ebert Stiftung. 2019年1月2日閲覧。
  3. ^ Jessica Murphy (2017年9月26日). “Who will Canada's New Democrats pick to take on Trudeau?”. BBC News. https://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-41405645 2019年1月2日閲覧。 
  4. ^ Gerard Di Trolio (2018年6月4日). “The NDP Claws Its Way Back”. Jacobin. 2019年1月2日閲覧。
  5. ^ a b Laura Payton (2013年4月14日). “NDP votes to take 'socialism' out of party constitution”. CBC News. https://www.cbc.ca/news/politics/ndp-votes-to-take-socialism-out-of-party-constitution-1.1385171 2020年5月19日閲覧。 
  6. ^ How Canada's politics are different to Australia's. ABC. Author - Annabelle Quince. Published 16 October 2015. Retrieved 2 January 2019.
  7. ^ Death of Jack Layton Weakens Canada’s Political Opposition. The New York Times. Author - Ian Austen. Published August 22, 2011. Retrieved January 2, 2019
  8. ^ Elizabeth Goodyear-Grant (2013). Gendered News: Media Coverage and Electoral Politics in Canada. UBC Press. p. 31. ISBN 978-0-7748-2625-9. https://books.google.com/books?id=TUFFAAAAQBAJ&pg=PA31 
  9. ^ a b Andrea Olive (2015). The Canadian Environment in Political Context. University of Toronto Press. p. 55. ISBN 978-1-4426-0871-9. https://books.google.com/books?id=Bvw_CwAAQBAJ&pg=PA55 
  10. ^ カナダ、新民主党の支持率が与党保守党を上回る 10月に総選挙ロイター 2015年6月8日 2015年11月7日閲覧)
  11. ^ カナダ総選挙、新民主党の支持後退 保守対自由の一騎討ちにロイター 2015年10月1日 2015年11月7日閲覧)
  12. ^ カナダ野党党首が辞意表明産経新聞
  13. ^ Bob Stewart (1983年). “The United Church of Canada in British Columbia”. 2011年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月15日閲覧。
  14. ^ POLICY OF THE New Democratic Party of Canada : EFFECTIVE APRIL 2016”. Xfer.ndp.ca. 2022年3月2日閲覧。
  15. ^ New Democratic Party” (英語). Encyclopædia Britannica. 2022年11月3日閲覧。
  16. ^ Elizabeth Goodyear-Grant (2013). Gendered News: Media Coverage and Electoral Politics in Canada. UBC Press. p. 31. ISBN 978-0-7748-2625-9. https://books.google.com/books?id=TUFFAAAAQBAJ&pg=PA31 
  17. ^ Laura Payton (2013年4月14日). “NDP votes to take 'socialism' out of party constitution”. CBC News. https://www.cbc.ca/news/politics/ndp-votes-to-take-socialism-out-of-party-constitution-1.1385171 2020年5月19日閲覧。 
  18. ^ Parties & Organisations of the Progressive Alliance”. progressive-alliance.info. 2017年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月6日閲覧。
  19. ^ “Jack Layton Dead: NDP Leader, 61, Succumbs To Cancer”. Huffington Post Canada. (2011年8月22日). http://www.huffingtonpost.ca/2011/08/22/jack-layton-dead-ndp-lead-cancer_n_932853.html 2013年12月22日閲覧。 
  20. ^ “Mulcair wins NDP leadership, vows to fight politics of fear”. CTV-NEWS. (2012年3月24日). http://www.ctvnews.ca/mulcair-wins-ndp-leadership-vows-to-fight-politics-of-fear-1.786435 

外部リンク


新民主党(NDP)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/07 04:43 UTC 版)

リトアニア農民・緑の連合」の記事における「新民主党(NDP)」の解説

1995年リトアニア女性協会母体として初代首相独立運動指導者一人であるブルンスキエネが結成した結成当初リトアニア女性党 (Lietuvos moterų partija) で1996年議会選挙では1議席獲得、後にNDP党名改称した2000年議会選挙では、リトアニア民主労働党などを中心とする選挙連合アルギルダス・ブラザウスカス社会民主連合」 (ABSK) に参加した

※この「新民主党(NDP)」の解説は、「リトアニア農民・緑の連合」の解説の一部です。
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