政党政治の混迷の後二大政党が確立
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ヴィクトリア朝の首相一覧名前首相就任日メルバーン子爵(ホイッグ)1835年4月18日 ロバート・ピール(保守党)1841年8月30日 ラッセル伯爵(ホイッグ)1846年7月6日 ダービー伯爵(保守党)1852年2月23日 アバディーン伯爵(ピール派)1852年12月28日 パーマストン子爵(ホイッグ)1855年2月8日 ダービー伯爵(保守党)1858年2月25日 パーマストン子爵(自由党)1859年6月12日 ラッセル伯爵(自由党)1865年10月30日 ダービー伯爵(保守党)1866年7月6日 ディズレーリ(保守党)1868年2月27日 グラッドストン(自由党)1868年12月9日 ディズレーリ(保守党)1874年2月20日 グラッドストン(自由党)1880年4月28日 ソールズベリー侯爵(保守党)1885年6月24日 グラッドストン(自由党)1886年2月3日 ソールズベリー侯爵(保守党)1886年8月3日 グラッドストン(自由党)1892年8月16日 ローズベリー伯爵(自由党)1894年3月6日 ソールズベリー侯爵(保守党)1895年6月28日 ジョン・ラッセルは1851年2月に労働者階級に選挙権を拡大する更なる選挙法改正法案を議会に提出したが、庶民院の反対で退けられた。この件でラッセルはヴィクトリアに辞表を提出した。ヴィクトリアは自由党に次ぐ勢力である保守党保護貿易派の指導者ダービー伯爵に首相の大命降下をくだしたが、保守党の議席は過半数に程遠く、また実務経験のある政治家が党分裂でほとんどピール派に移っていたこともあってダービー伯爵はこれを拝辞し、自由党とピール派に政権を担当させるようヴィクトリアに具申した。ヴィクトリアはその通りにしようとしたが、この二勢力には自由貿易しか共通点がなく、カトリック規制など他の問題で様々な対立を抱えていたため、連立政権を作れなかった。ヴィクトリアはランズダウン侯爵やウェリントン公爵など元老たちにどう対処すべきか諮問し、結果ラッセルを首相に戻すこととした。迷走ぶりを露わにした政党政治の力は減退し、王権の担い手たるアルバート公子の存在感は一層増していった。 1852年2月にヴィクトリアは伯父であるベルギー国王レオポルド1世に宛てて「アルバートは日増しに政治が好きになっていますが、彼の洞察力や勇気はそうした仕事には非常に向いています。一方私は日増しに仕事が嫌になっています。私たち女性は「統治」するようには創られていません。善良な女性であるなら、そのような仕事は好きにはなれないのです。」と書いている。 1851年12月にジョン・ラッセル卿内閣外相パーマストン子爵が独断でフランス大統領ルイ・ナポレオンのクーデタを支持した廉で辞任に追いやられて以降、ホイッグ党はラッセル卿派とパーマストン子爵派という二つの派閥が形成されて内部対立するようになった。 このホイッグ党の内部対立に付け入る形で保守党党首ダービー伯爵が政権奪還することもしばしばあったが、ピール派が離脱した保守党は復古主義的農本主義団体と化していたため、国民から背を向けられ、総選挙で多数派が取れなかった。穀物の自由貿易はイギリス農業を衰退させるどころか大きな繁栄をもたらしていたためである。保守党は徐々に保護貿易主義をフェードアウトさせていったが、多数派を得るのは1874年の解散総選挙(英語版)まで待たねばならなかった。 1850年代を通じて政党政治の混迷は続き、5回も政権交代があった(1852年2月に保守党のダービー伯爵、1852年12月にピール派のアバディーン伯爵、1855年2月のホイッグ党のパーマストン子爵、1858年2月のダービー伯爵再任、1859年6月にパーマストン子爵再任)。 1859年6月にホイッグ党、ピール派、急進派の三派が合同して自由党を結成したことで二大政党制への道が開かれ、政党政治が安定化するようになった。自由党は早速議会に内閣不信任案を可決させ、不安定な少数与党政権の第三次ダービー伯爵内閣(保守党政権)を辞職させ、パーマストン子爵を首相とする自由党長期政権を樹立した。こうして1860年代以降には1850年代のようにヴィクトリアが長老政治家に諮問して首相を選定するようなことも減っていった。
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