推測される発信源および目的
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 23:51 UTC 版)
「乱数放送」の記事における「推測される発信源および目的」の解説
乱数放送の発信源についての手がかりは、放送においての手違い、無線方向探査の結果(指向性アンテナを使用した二方位受信によっておおよその位置が把握できる)、および短波伝播の知識によってもたらされる。例えば通称「アテンシオン」として知られる放送は、かつてラジオ・ハバナ・キューバと同じ周波数で、同局の音声に混じって聴取されたことがあり、これによってキューバからの送信であることが判明した。 乱数放送は、行政機関が「現場」にいるエージェントと連絡する単純かつ極めて簡単な方法として稼働していると推測されている。その推測根拠として、乱数放送はソ連8月クーデター(1991年)のような特殊、異常な政治的な偶発事象の際に、定常的に行っていた放送を、若干異なった内容に変更させたり、想定外の放送を発信したりしている。 あるいは、北朝鮮の放送がそうみられるように、非合法の薬の密輸と関係があるかもしれないとか、大規模な麻薬密売組織によって運営されていると推測する意見もある。 「放送」という形をとっているのは、他国へ侵入しており、大掛かりな送受信設備を持つことができないエージェントに対して、当局が双方向の秘匿通信ができる手段が大きく限られるのが最大の理由であろうと考えられている。短波は他の周波数帯に比べ、送受信者間が長い距離で隔てられていても送受信可能である。実際に短波(特に20MHz帯以下)は数ワットの小出力で易々と地球を一周することがアマチュア無線によって証明されている。一方で、乱数放送の収集家であり「ザ・コネット・プロジェクト」の作者であるAkin Fernandezが2005年にBBCの取材を受けた番組によれば、「ワンタイムパッドによる暗号強度と、諜報員が一般的に追跡困難であることを考慮すると、乱数放送は諜報活動において強力なものだ。」と証言している。 乱数放送を発信しているとみられる政府あるいは放送局は、それらの存在を認知したりその存在理由を決して明かそうとはしない。「デイリー・テレグラフ」の1998年の記事では、イギリスの貿易産業省(ラジオ放送を統制する行政機関)の報道官の次のような言葉が紹介されている。 「これら(乱数放送)はご推察の類のものです。不可解に思う必要はありません。言うなれば、これらは一般消費者向けのものではないのです」 アメリカ合衆国では、ラジオの放送周波数帯での観測がされなくなり、同種の通信は人工衛星を使ったものに移行したとみられている。
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