ゆび‐てんじ【指点字】
指点字
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 05:29 UTC 版)
盲ろう者のコミュニケーション手段の一つとして、両手の人差し指・中指・薬指、計6本の指を点字の6つの点に見立てて指で点字を打つことにより意思を伝達する指点字と呼ばれる方法がある。指点字は、1981年に福島令子が考案し、1989年にストックホルムで開催された第4回ヘレン・ケラー世界会議において英語発表が行われた。 指点字は点字の規則に準じているが、会話用にカスタマイズされている。 例えば、枡空けはなく、間を取る。「。」や「、」などの符は省く、発音の点字を打つ、自分が誰であるか名乗ってから打つ、よく使う言葉は略点字でショートカットが可能、などの喋り言葉ならではの規則がある。 指点字は一人に一人の意思伝達方法。(1) 互いに隣り合って同じ方向を向いて通訳者は盲ろう者の指の甲に自分の指の平を重ね合わせるようにして点字を打つ方式が主流であるが、これに対し、(2) 互いに対面して通訳者の右(左)手の指が盲ろう者の左(右)手の指の甲を打つ方式や、これと同じ互いの指の対応ではあるが、(3) 対面で指の平同士をダンスをするような格好で打つ方式がある。また、(4) 背後から首筋や背中などの体に指で点字を打つ方式もある。 他に盲ろう者のコミュニケーション手段としては、手書き文字や触手話や指文字があるが、指点字はこれらの方法と比べて速く正確に感情まで伝達される特長を持つ。また、指先一本の中で6つの点を識別する点字と異なり指点字は指ごとの識別の点字なので、点字を習得している人は容易に指点字に移行でき、50歳を過ぎてから盲ろう者になった人でも容易に習得ができるなどの優れた特長をあわせ持つ。しかし、手話通訳のように一人の通訳者で複数人に同時に意思伝達することができなく、一度に多くの盲ろう者に意思伝達するには盲ろう者一人に指点字通訳者一人の環境が必要なために、多くの労力と経費がかかる欠点がある。 このために、指点字は優れた意思伝達方法にもかかわらず全ての盲ろう者にサービスを提供することは人手に限界があった。この欠点を解決する方法として指点字の機械化が進んでいるものの、マーケットは盲ろう者が日本で1万3千人と狭く事業化も困難を極めている。上記 (1)(2) の方式としては「指こん」、上記 (3) の左右の手を交差しない方式としては「ユビツキィ」、上記 (4) の方式としては入力が指点字で出力が体表点字の「ボディブレィル」という製品名の指点字機器がある。 中でもイーグルタイプのユビツキィは発話障害者の音声合成、聴覚障害者の筆談、視覚障害者の読み書き記憶、肢体障害者の文字決定発話装手段として、さまざまな障害者が健常者を含めて互いに助け合う仕組みを築いた製品で、盲ろう者のマーケットを救うユビツキィには自分の障害だけではなく、相手の障害を思いやる製品の設計思想がある。このユビツキィのような指点字の機械化により、指点字は全ての障害者と健常者を結ぶ共通言語として普及する。
※この「指点字」の解説は、「点字」の解説の一部です。
「指点字」を含む「点字」の記事については、「点字」の概要を参照ください。
「指点字」の例文・使い方・用例・文例
- 指点字のページへのリンク