投票券の販売方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 13:49 UTC 版)
「投票券 (公営競技)」の記事における「投票券の販売方法」の解説
創始期 公営競技の投票券は、普通の「紙に組番が印刷された券」から始まった。これは、例えば「単勝1番」であればそれが印刷された券を求めなければならない。窓口にはそれぞれどの「組番」を発売しているかが表示され、複数の組番を購入したい場合は発売時間中に窓口を多数移動しなければならなかった。通常は1枚100円(法的には10枚分)だが1枚1000円(10枚、法的には100枚分)単位で発売する窓口もあり、これを「特券(とっけん)」と呼んだ。 的中の可能性が高いと思われた組番の窓口には人が群がる(並ぶ)ため、競走場によっては発売状況に応じて窓口の数を変更するなど柔軟な対応を行うところもあった。投票券がコンピュータシステムで発券される現代でも、一番売れている(オッズが低い)組番が「一番人気」と呼ばれるのはこれに由来している。 電算化とシングルユニット券 その後、コンピュータシステム(トータリゼータシステム)の導入に伴い「組番を口頭で自由に申し込む」ことが出来る「シングルユニット券」が登場する。1枚の券に組番1つと金額が印刷され窓口の係員に現金を払って受け取る、現在に近い形の仕組みができあがっていった。なお金額は一律のままだったため、900円分購入する場合は100円券が9枚渡される。 マルチユニット券の登場 さらに時代は進み、ついに1枚の投票券に「複数の組番と任意の金額を記録」した投票券を購入できるようになった。これが「マルチユニット券」である。これにより購入の利便性は飛躍的に高まり、窓口の混雑緩和にも役立った。現在、日本の公営競技では全ての発売所においてマルチユニット券による発売が行われている。 マークカード方式 JRAが馬番号連勝複式(馬連)を導入したのにあわせ、規定のマークカードに投票内容をマークして申し込む「マークカード方式」での発売を開始した。これは口頭での誤発券防止に加え投票内容を機械に読み取らせて発券するため、発券時間がさらに短縮されるなど主催者にとってもメリットが大きいことから地方競馬や他種公営競技も追随していくこととなった。またマークカード方式は機械で投票内容を読み込むことから、自動発売機(自動投票機)の普及にも繋がることとなった。また主催者にとっては投票券の発売を自動化することで発売窓口人員の削減が可能になり、人件費などのコスト削減にもつながることとなった。現在、日本の公営競技ではほぼ全場でマークカード方式を導入しており、口頭で購入可能な窓口はごく一部に限られるか一部には全く存在しない施設もある。 更なる進化 さらに進化は進み、1974年には発売所に行かなくても自宅からチケットレスで投票できる電話投票が中央競馬で開始された。その後、地方競馬や他種公営競技にも相次いで電話投票が導入されたほかキャプテンシステムやファミリーコンピュータを利用してテレビ画面でオッズを確認しながら購入できるようになった。これはパソコンや携帯電話を利用した「インターネット投票」に進化して現在に至る。 本場での投票券購入もキャッシュレス化が進んでおり、2003年4月よりタッチパネルを装備した専用座席とデポジットカードによる「在席投票(すわって投票)システム」が競輪場を中心に導入された。2006年7月6日より桐生競艇場において公営競技では史上初となる携帯電話を使った場内移動型投票システムが導入されたが、これは開催日当日に来場したファンが場内で登録することで、当日の全競走を手元の携帯電話から投票できるシステムである。本場締め切りと同時刻まで投票できるほか従前の方式と異なり順番待ちも必要なく、ネット投票の口座を開設していない本場来場者でも手元で投票が可能になった。また2009年2月には山陽オートレース場においてICカードと専用投票機による電子マネー式の「eスマート倶楽部」が導入されたが、これはカードでの購入によるポイント制度も加えられており、後に函館競輪場でも採用された。 競馬でもJRAが2006年12月2日から中山競馬場で在席投票「i-Seat」を導入(なお、中山競馬場のi-Seatについては2014年2月で閉鎖された)。以降京都競馬場、ウインズ新横浜、中京競馬場にも設置されている。 さらにJRAは2011年に、これまで公営競技の投票券購入として使用できなかったクレジットカードを利用して投票券の購入ができるサービス『JRAダイレクト』を開始した。使用できるクレジットカードはJCBカード・三井住友カード・UCカードに限られ、「金利負担を伴う支払方法は不可能」「不正利用防止のため各カード会社のインターネットサービスによる3Dセキュアによる認証必須」「1回の購入ごとに最低1000円の購入かつシステム手数料100円必要」「1日につき購入できるのは3回まで、1ヶ月の利用限度額は5万円」などといった制限がある。 JRAは2018年4月よりマークカード不要でスマートフォンのIPAT投票と同様の操作で投票できる「スマッピー投票」を東京競馬場において開始。今後他場およびウインズにも拡大する。購入操作後に表示されるQRコードをスマッピー対応の発売機にかざすことで馬券が購入でき、紙資源の節約にもなる。 2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う無観客開催措置により、全ての競馬場・競艇場・競輪場・オートレース場・場外発売所が閉鎖された為、この間の全ての投票券は、電話・ネット投票以外の購入が不可能となった。
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