批評と受賞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 08:58 UTC 版)
「ファン・ホーム ある家族の悲喜劇」の記事における「批評と受賞」の解説
本作は多くの媒体で好意的な批評を受けた。ロンドンの『タイムズ』は本作を「意義深い重要な本」と呼び、Salon.comは「美しい、掛け値なしの傑作」と評し、『ニューヨーク・タイムズ』は書評2篇、特集記事1篇を掲載した。ショーン・ウィルジーは『ニューヨーク・タイムズ』の批評で本作を「二つのジャンル(コミックスとメモワール)に様々な点で新しい地平を開いた、先駆的な作品」「言葉を愛する人々のためのコミックブック」と評した。ジル・ソロウェイは『ロサンゼルス・タイムズ』への寄稿で本作を全体として称賛したが、引用で埋められた文章が時に「やや不明瞭」だと述べた。同様に、カナダのオンラインマガジン『ザ・タイ―』は「物語を様々なギリシャ神話やアメリカ文学、あるいは古典戯曲に結びつけようという語り手の主張」が「作為的」で「強引」だという印象を記した。対照的に『シアトル・タイムズ』のレビュアーは文学からの引用を肯定的に「圧倒的な文学的素養」と評した。『ヴィレッジ・ヴォイス』紙は以下のように評した。 [本作は、コミックスという] メディアが自伝的な物語をどれほど効果的に(そして効率的に)伝えることができるかを示している。絵と言葉を単純に同期させず、二つのパートによって語るのはコミックスに特有の叙述様式で、これにより膨大な情報を圧縮して表現することが可能となる。 本作は『ニューヨーク・タイムズ』、Amazon.com、ロンドンの『タイムズ』、『ニューヨーク』など複数の媒体で2006年のベスト書籍リストに選出された。『パブリッシャーズ・ウィークリー』は本作を2006年のコミックブックのベストに挙げた。Salon.comは本作を2006年にデビューしたノンフィクションのベストに推し(厳密には「デビュー」と言えないことを認めながらも)、以下のように評した。 『ファン・ホーム』には、悔恨、同情、いらだち、挫折、哀れみ、そして愛が散りばめられて揺らめく光を放っている。それも、たいていはすべてが同時に。そこに必ず顔を覗かせるのは、自分自身を偽らず、自分を育てた人々をも正しく描くという不可能に近い課題に対する、深甚で優れて文学的なアイロニーである。 『エンターテインメント・ウィークリー』は本書を2006年のノンフィクション本のベストに選び、『タイム』は2006年の書籍ベストに挙げて「思いもよらなかった2006年の文学的成功」「一つの屋根の下でまったく別の世界に生きていた二人と、彼らの互いに対する密かな負い目を描いた傑作」と呼んだ。 『ファン・ホーム』は2006年の全米批評家協会賞メモワール・自伝部門の最終選考に残った。2007年にはLGBT関係の文学賞を四つ(GLAADメディア賞の最優秀コミックブック賞、ストーンウォール賞ノンフィクション部門、パブリッシング・トライアングル協会のジュディ・グラーン賞、ラムダ文学賞「レズビアンのメモワールもしくは自伝」部門)受賞した。2007年のアイズナー賞では、本作が「実話を基にした作品」部門の最優秀作品に選ばれたほか、「グラフィック・アルバム」部門にノミネートされ、ベクダル自身は最優秀ライター・アーティストの候補に挙げられた。2008年、『エンターテインメント・ウィークリー』誌は1983年から2008年までに刊行された書籍のベスト100を集めた「現代の古典」リストの第68位に本作を挙げた。『ガーディアン』は「すべての人が読むべき小説1000作」に本作を取り上げ、「美しく描かれた」ディテールに言及した。 2009年、ロンドンの『タイムズ』、『エンターテインメント・ウィークリー』、Salon.comらは本作を2000年代のベスト書籍リストに載せた。また、ジ・オニオンの『A. V. Club』は本作を2000年代のベスト・コミックブックの1冊として挙げた。 2010年、『ロサンゼルス・タイムズ』が運営する文学関係のブログ「ジャケット・コピー」は本作を「ゲイ文学の古典20作品」に含めた。
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