意識調査・分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 08:50 UTC 版)
インターネットにおける誹謗中傷の被害・加害に関する意識調査としては以下のような報告がある。 2013年に日本法規情報が1721人(男性676人、女性1045人)を対象に実施したアンケート調査では、誹謗中傷を見たことがあると回答した者は70%以上、誹謗中傷を書き込んだことがあると回答した者は3%であった。 2020年にNTTドコモが13歳から18歳のスマートフォン所有者200人を対象に実施したアンケート調査では、SNSで誹謗中傷を受けたことがあると回答した者は14%(女子9%、男子19%)、SNSで他者への批判や文句を投稿したことがあると回答した者は28%であった。 2020年にNEXER(日本トレンドリサーチ)がSNS・ネット掲示板利用者1252人を対象に実施したアンケート調査では、批判や悪口を書き込んだことがあると回答した者は14.5%(うち誹謗中傷にあたると回答した者は21.4%)であった。 2020年に日本財団がSNSをテーマに17歳から19歳の1000人(男性500人、女性500人)を対象に実施したアンケート調査では、誹謗中傷を受けたことがあると回答した者は12%、根拠希薄な批判や悪口を書いたことがあると回答した者は5.2%であった。 2020年にビッグローブが20代から60代の1000人を対象に実施したアンケート調査では、SNSで誹謗中傷されたことがあると回答した者は、SNS利用者770人中「よくある」が4.5%、「たまにある」が13%、最も多かった20代では「よくある」が10%、「たまにある」が18.9%であった。また一般人に対して誹謗中傷をしたことがあると回答した者は7%、著名人に対して誹謗中傷をしたことがあると回答した者は6.3%であった。 2022年に弁護士ドットコムが一般会員1355人(男性792人、女性551人、その他12人)を対象に実施したアンケート調査では、誹謗中傷の被害を受けたことがあると回答した者は43.8%、誹謗中傷をしたことがあると回答した者は13%(うち24.4%が50代男性、22.7%が40代男性)であった。 SNSでの誹謗中傷について取り締まりを厳しくすべき、法整備をすべきとの回答は、日本財団調査(2020年)、ビッグローブ調査(2020年)および弁護士ドットコム調査(2022年)で、いずれも8割前後に上った。 ネット炎上への参加割合については複数の研究報告があるが、過激な言説や便乗的批判、複数回の書き込みをおこなっている利用者は、多くの報告においてインターネット利用者の0.5%ないし1%程度に留まるとされ、さらにこの内のわずかな利用者が多数の投稿をして炎上における「ネット世論」を形成しているとの報告もある。 加害者になりやすい層についての見解は、専門家の間でも様々であるが「無職者や休職中であるなど、時間があり、社会に対して恨みを持つ低所得者」(田代光輝・服部哲『情報倫理』2013年)、「属性や社会的立場は様々であるが、共通して暇で、劣等感がある人物が多い」(小木曽健・2021年)といったものがある。誹謗中傷事件を扱う弁護士の清水陽平は「男性が若干多いものの、女性も相当数誹謗中傷を行っていること、定職についていないなど年収が低く安定していない人が多く、精神疾患を抱えている人も多い」との見解を示す。一方、計量経済学者の田中辰雄と山口真一はネット炎上参加者のデータ分析から、「男性」「若年」「子供と同居」「高い年収」「ラジオ利用時間」「ソーシャルメディア利用時間」などの属性が統計的に有意と示し、また山口は主任・係長クラス以上の者が多いこと(炎上参加者で31%、非参加者で18%)を示す。社会学者の吉野ヒロ子はこうした報告ごとのギャップについて「炎上について投稿したことがあるというレベルの参加者と、被害者が法的措置を取らざるを得ないような悪質な誹謗中傷を行っている参加者との違いと考えられる」と指摘する。
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